宰領―隠蔽捜査5― (新潮文庫)
宰領―隠蔽捜査5― (新潮文庫) / 感想・レビュー
ehirano1
“やるべきことをやる”というのが本書のテーマだったように思います。そしてこれは竜崎の原則でもあるようです。本書で5作目ですが、1作目の隠蔽捜査では一緒に仕事をしたくない人物ナンバーワンだった竜崎ですが、今では人間味を増した彼に魅了され、一緒に仕事をしてみたい人物になってしまいました。ひょっとすると竜崎のファンになってしまったかもしれないとさえ思っています。
2018/01/08
ノンケ女医長
警視庁と神奈川県警察の不仲。有名だからこそ、多くの人が作品に期待をするところ。人命救助と事件解決が何よりも優先されるべきなのに、面子をかけて衝突を重ねる描写が生々しい。制圧に向け、現場で下される英断の数々は緊張感でいっぱい。また、実務に目を向けることなく、自分の戦果に結び付けようとする管理者の老獪な手段に、うんざり。神奈川県警本部長が、深夜に自宅を訪問した竜崎警視長を威嚇。かなり強烈だった。こういう警察本部長、全国にたくさんいるんだと思われる。
2022/12/13
absinthe
ブレない男、竜崎のブレない面白さ。解決できたと思わせてさらに事件に裏があるどんでん返しも面白い。竜崎を思い浮かべる時、いつも今野さんの顔写真を思い出す。今野さんはキャラの性格を決めたら舞台で勝手に遊ばせるような手法を取るそうだが、本シリーズはその手法が結実した好例のように思う。本作も竜崎に、ひっきりなしに問題が押し寄せるが手際良く捌いていく。その姿の爽快な事!
2021/02/04
stobe1904
【隠蔽捜査⑤】いつも楽しみにしているシリーズ。今回は大森署管内で発生した政治家の誘拐と秘書の殺害事件を署長の竜崎が担当するが、捜査の主導権に関して警視庁と神奈川県警の組織間の軋轢に竜崎は巻き込まれる…。キャリアとノンキャリア、東京と神奈川、前線本部と指揮本部など幾多の軋轢を原理原則に則り、合理性とスピードを最優先にさばく竜崎の手腕は相変わらず清々しい。同じ大義を持ちつつも、組織が個別最適に陥る構図は身につまされるものがあるなと痛感しつつ、それでも前向きに進むパワーをもらった気がする読書だった。★★★★★
2023/11/17
しんたろー
5作目は殺人事件&衆議院議員の誘拐事件の陣頭指揮を執ることになる竜崎の数日に渡る話…今回は警視庁vs神奈川県警という確執に絡めて、竜崎が垣根をどうやって乗り越えてゆくかが中心になっているが、彼の人間性と有能さで解決してゆくさまが気持ちいい。大森署の面々や過去に登場した特殊班主任らとの信頼関係もシリーズらしい楽しみだった。息子の受験を気にしつつ、捺印にも固執する姿も竜崎らしいと感じるように馴染んできた。池上彰さんの解説にあるように『水戸黄門』的な面白さがある、安定したレベルを保つ大人のエンタメ作品だと思う。
2018/11/19
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