枯葉の中の青い炎 (新潮文庫 つ 23-1)
枯葉の中の青い炎 (新潮文庫 つ 23-1) / 感想・レビュー
(C17H26O4)
タイトルと表紙に惹かれて読んだ。物語がどこへ着地するのか、最後まで読まないとわからない。最後まで読んでもよくわからないものもあった。結末を知ってからもう一度読んで理解した(気になった)ものも。虚実を巧みに混在させたり、結合させたりする著者の発想がすごい。読ませるが好みは分かれると思う。わたしはなかなか入り込めなかった。
2020/06/22
翔亀
金魚三部作(勝手に命名)の第三作は、5編からなる短編集。ただし金魚ハマトウが登場するのは1編だけ(「ザーサイの甕」)。ここには遊動亭円木も登場するので、円木ものの続編といってもいいが、ここではハマトウが主役だ。何といっても、天変地異を惹き起こすのだから。この作家にかかると、天変地異も"自然"の「いらだちと継続する痙攣」の表現でしかない(地震は地球のくしゃみに過ぎないように)。ハマトウという架空の金魚は、自然の逆襲を表現するために導入された。そうした大きな自然の力や歴史の流れの中では卑小な人間だが、作家は↓
2017/04/30
メタボン
☆☆☆☆ どこに連れていかれるのかわからない、ミステリアスな短篇集。特に表題作は、スタルヒン・相沢進・中島敦・スティーヴンソンを野球の試合でつなげてしまうという荒技に、慄いた。「水入らず」は、「約束よ」でも出て来た快楽につながる香の話。「野球王」はエレベーターのエピソード(奈落への深さ)が水平に展開すると、という視点の転換が恐ろしい。「日付のある物語」は連合赤軍と三菱銀行北畠支店立てこもり事件とがシンクロする。「ちょっと歪んだわたしのブローチ」はラピスラズリが鍵。金魚のハマトウが主役の「ザーサイの甕」。
2021/03/02
三柴ゆよし
すぐれた書き手はすぐれた読み手である。現代日本において、辻原登ほどこの言葉を体現している作家はいないだろう。本書所収の六篇はいずれも物語のなかにまた別の物語が埋めこまれたものだが、辻原登の語りの魔力は幻想小説でよくみる、単なる容れ子構造とは一線を画す。それはたとえば鏡に映る影が鏡そのものをも変容させるような、ゆるやかでありながら危険な物語のシンクロニシティであり、その世界では、真実と虚構の劃定は、もはや意味をなさない。口溶けのよい文章に運ばれてゆく場所がどこなのか、まるでわからない、奇術のような小説体験。
2016/01/10
501
6編の短編集。ドキュメンタリーとフィクションを織り交ぜたような作品が主。評価の高い声が多いが、いまいち面白さが分からず。また時間をおいて読んでみたい。
2019/03/03
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