異国の迷路 (新潮文庫)
異国の迷路 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
まだ無名時代の坂東眞砂子さんが自ら企画を持ち込み、「るるぶ」に連載された12の異国を舞台に展開する掌編小説集。アカプルコに始まってニューヨークで終幕を迎える。その間はパリやトリエステ、カトマンドゥ、など、いずれも作家本人が行ったところが描かれる。まさに旅する作家坂東眞砂子さんの本領発揮といったところ。1篇のページ数が少ないために重厚とはいえないが、いずれもその街固有の温度や匂いといった微妙な空気感を巧みに伝えている。語り口もまた実に鮮やかなもの。軽いホラーといえばそうだが、なかなかに味わい深い作品集だ。
2019/05/07
メタボン
☆☆☆☆ 作家デビュー前にるるぶに連載された旅とホラーの融合という異色な作品集。タブーを犯して恐ろしい結末に至るという作品が多い。一つ一つ世界観が完結していて読みやすい。死者の眠る土地に液体をこぼすと呪われる、ダイビングの水中でライトを充てると口吻が鋭い魚に襲われる、呪われた黒い靴、極楽の味の果物を食べその種に導かれ土に戻る、古時計の針を曲げると中世の街に遡る、交通事故で死んだのは夫ではなく私。
2021/08/05
S.Mori
異国で感じる恐怖を描いた13篇です。旅と恐怖を結びつけた手法が素晴らしいです。旅はわくわくするものではありますが、心細さを感じることもあるからです。どの短編にも急に足元がぐらつくような恐ろしさがあります。私の一番の好みは第三話の「黒い靴」です。靴とホラーという意外な組み合わせの着想を面白く感じました。主人公はパリで出会った女性から恐ろしい話を聞きます。父の作った靴を履いた母は不慮の事故にあってしまいました。父はその靴に秘められた自分の思いを語るのですが……。最後の一行で恐怖がこみ上げてきます。
2020/04/17
miwapicco
2度目か3度目か、お風呂の友に一気読み。背表紙読んで、知らないーと思ったけれど、どのお話も最初の一文ですらすら内容思い出すという。ごく短いお話ばかり、でも印象強烈。これがるるぶとは、旅に出る気なくしそうーー😅最初のマルガリータのお話がやはり好きです。 ほんと、惜しい人を亡くした、、、
2017/10/26
あつ子🐈⬛
再読。ホラー短編集です。冒頭の『マルガリータをもう一杯』からガツンとやられた。再読なのに。 初出は2006年。私のイヤミス好きは昔からだったのだなあ。
2021/06/26
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