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失恋 (新潮文庫 さ 27-9)

失恋 (新潮文庫 さ 27-9)

失恋 (新潮文庫 さ 27-9)

作家
鷺沢萠
出版社
新潮社
発売日
2004-02-01
ISBN
9784101325194
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失恋 (新潮文庫 さ 27-9) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

4つの短篇から構成される「失恋」の物語。もっとも、冒頭の「欲望」(タイトルから想像される内容からは遠い)は、必ずしも失恋の物語でもなく、むしろ失望の物語とでも言うべきか。4篇のいずれもが、鷺沢萌によく見られる出自を含めた自己のアイデンティティを描くのではなく、外側に物語を構築する小説群である。その意味では鷺沢らしくないとも言える。むしろ解説を書いている小池真理子のスタイルに近いか。最後の掌編「遅刻」にはあてはまらないが、他の3篇はいずれも、それぞれの環境の中で一生懸命に生きる女たちの物語だ。

2020/02/26

あつひめ

あとがきにあるとおり、読み手によって失恋の物語ではないかもしれない・・・ほんとにそうかもしれない。恋は、人が人として成長する中では大切な部品なのかもしれない。でも、中には不具合の部品もあるし。いつまでも続けられない不具合の恋をやめられないのは、恋に恋している自分を愛おしくなってしまうのかもしれない。でも、いつかは何とかしなければと思いながら。恋はしないよりはした方がいい。でも、いつも相手のペースにはまるのではなくお互い同じ力関係でシーソーをこぐようにできたら・・・いいのにねって読後感じたのは私だけかなぁ。

2014/03/15

(C17H26O4)

恋愛なんて恋愛なんて、渦中にあったら気持ちは乱高下したりして面倒くさかったけど、恋愛って人情だったんだなって思う。恋愛が自分勝手な欲望に思えてしまったとしても、突き詰めれば打算も含めて純粋だからなんだな、多分。恋も失恋もいいんじゃない? 性懲りもなく恋愛してもいいんじゃない? 激しい思い出も苦い思い出も、それもいいんじゃない? 鷺沢さんの温かい眼差しを感じた4篇。

2020/07/03

masa@レビューお休み中

恋は終わるものではなく、失うものなんだ。あのとき、手のひらにあった。そう思っていても、何かの拍子に砂のように零れ落ちてしまう。理不尽で、不公平で、不均衡で不埒なものが恋である。それは自身の欲望を満たすための行為なのだろうか。それとも、相手を思いやる行為なのだろうか。想いも記憶も情念も、恋を失うまでは不毛に燃え続ける。手に入れることができなくとも、満たされることがなくとも、どこまでも囚人のように捕らえて離さない。失ったと気付くまでは…。

2012/06/23

ひめか*

私はこういう恋愛はしたことないが、恋ってこんなものだよねって感じもした。恋の喪失感と爽快感を与えるような短編集。ゆっくり深く胸に染み込んでいく。『記憶』大学生の話だから親近感をもてたが、こんな男は私も別れろと言うと思う。終わり方はそれとなく爽快で良かった。『欲望』人が人を信じたかったり救いたかったりする思いの全てが自分勝手な欲望?そんなわけない。このあたりの心情が胸に刺さる。『安い涙』境遇や主人公の気持ちに胸が痛む。『遅刻』複雑な思いを笑顔の下に隠した、わかるなぁ…この終わり方は半端だけどなんかいいな。

2016/02/01

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