ウェルカム・ホーム! (新潮文庫)
ウェルカム・ホーム! (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
これまでに読んだ鷺沢萠の作品とは趣を異にする。すなわち、私の印象では鷺沢作品は、多かれ少なかれ自己の内的なアイデンティティの問題が投影されていたが、本作では自己の外側に小説世界を形作っていることだ。また、2つの中編を併置する手法も珍しいもの。2つの小説はいずれも血縁のないところに成立する親子愛をテーマとしているが、これは見方を変えれば、”血”への拘泥からの脱却を図ったことの結果であったのかもしれない。ともかくいずれもなかなかにハートウォーミングな作品に仕上がっている。私の好みで言えば、前後を作文に語らせ⇒
2020/01/28
オリックスバファローズ
家族を家族たらしめるのは血のつながりじゃない、大切なのは柔らかで温かい心なんだということが伝わる、素晴らしい家族小説集でした。
2018/04/20
ALATA
ジャケ買いならぬ表紙買い。期待通りの大満足の一冊でした。二人の父親がいる小学生の無邪気な様子が微笑ましい。宿題の作文でゲイカップルに疑われて焦る様に抱腹絶倒。三人家族の鮮やかな日常が描かれて面白い。「タケシが育ててくれたからノリがいい子に育った」ここでホロっと…。ニ作目は母と娘、血が繋がらなくてもずっと強い絆が生まれるんだなと最後に心がじんわりしました★5※初読み作家さんで他も検索してみてびっくり。これ、遺作なんですね。こんなに温かい素晴らしい物語をサギサワさんにありがとう言いたい。
2022/11/29
速読おやじ
中編が二作品。テーマは親子愛。どちらも一人親と子供で、シングルファーザーの話とシングルマザーの話。両方ともとても良かった。小説としては前半の話がたぶんよく書けてるんだろうけど、かつてハンコーキの娘がいた経験からすると後半の話は少し涙腺が、、、鷺沢萠らしくないというか、何だか重松清的な家族小説でした^_^ でも、実はこういうのが好きなんです。
2020/10/27
penguin-blue
久々の鷺沢さん。幼い息子と二人暮らしの友人の家に転がり込み、家事全般を担当してだいぶたつ男と、二度目の夫の連れ子を親代わりに育て、残してきたその娘に心を残す女、それぞれ家族のかたちを描いた中編二つ。鷺沢さんにとって人それぞれに流れる血と、そしてそれを結ぶ、またはそれを越える人との絆というのが永遠のテーマだったんだなあ、と感じる。書かれた時代はだいぶ昔になったけれど、内に流れているものはちっとも古くなく、いま彼女が生きていたらどんな作品を書いていたんだろう、と思わずにいられない。
2017/12/20
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