絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫)
絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
学術的にではなく、またジャーナリスティックな視点からでもなく、文字通り地を這うように足と身体で体感した極私的、実感的貧困ルポルタージュ。よくぞここまで入り込めたと思う。そして、そのことによってはじめて、マスコミ(とりわけテレビ)にはけっして持つことのできない視座を得たのである。世界では12億人もの人たちが1日に1$以下で暮らしている。それは単に貧困であるということにとどまらない。暴力やエイズなどの危機に最前線で直面してもいるのだ。傍観してはいられない。今の世界の現実がこれなのだから。
2017/06/23
三代目 びあだいまおう
著者自身が途上国を取材し、世界のリアルな貧困状況に関する講義を纏めたもの。多くの写真やデータが添えてある。著者の『レンタルチャイルド』で衝撃を受けたが、同じ地球の表面でかような命の格差があることは悲しい。世界人口の5人に1人が1日1ドル以下で生活している。2ドル以下で生活している人は世界人口の半数に及ぶ!350人に1人の割合で医者がいる先進国に対し、途上国では6万人に1人しかいない。貧困のどん底でも必死に生きている彼らに対し感想など述べられる立場でないが、彼らの表情には不思議と明るさと逞しさがある‼️🙇
2020/06/11
kaizen@名古屋de朝活読書会
貧困をさまざまな物質的な面から掘り起こしている。衣食住だけでなく、社会との関わり。絶対的な貧困の中に、人間性を探そうとしているようにも読める。餓死と自殺とを比較すると前者が物質的な貧困で、後者が精神的な貧困ではないかという仮設を立てて、精神的な貧困についても報告があるといいかもしれない。
2013/07/26
文庫フリーク@灯れ松明の火
サブタイトル通り写真・イラスト・図を用いた講義形式のため解りやすい。その分生々しさに欠ける面はあれど、これまで読んできたフィクションを裏打ちするありのままの姿。高野和明さん『ジェノサイド』に登場した少年兵。戦争やゲリラ組織が真っ先にリクルートの対象とするのが、ストリート・チルドレン。自ら志願する子供も。著者がコンゴ滞在中に知り合った11〜2歳の少年兵。カラシニコフの銃口の上に顎を乗せ「町の路上にいたって、誰からも相手にされずにシンナー中毒になってくたばっていくだけじゃないか。だけど、軍隊にいればみんな→
2014/05/18
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
世界を歩いて、路上生活者やストリートチルドレンたちと交流しながら『貧しさ』のリアルに迫ったルポルタージュ。耳を塞ぎたくなる厳しい現実も描かれているけれど、作者の視点のやさしさとユーモアさえ交えた軽快な文体により読み進めることができた。「物乞いに施しをしても、本質的な解決にはならないからやめた方がいい」という声にはっきり反論している部分にとても共感した。「動物に餌を与えないで下さい」と同じ発想ではなく、その時できることをすることは決して間違いではないと思う。捨てられた子どもたちの描写は読んでいて辛かった。
2015/12/22
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