こどもホスピスの奇跡 (新潮文庫 い 99-10)
こどもホスピスの奇跡 (新潮文庫 い 99-10) / 感想・レビュー
breguet4194q
著者の本を読むと、毎回胸が詰まり、気分が重くなるのが常。この本もそうでした。ただ、他の著作と違うのは、絶望の中から僅かの希望が見え、心が安まり温まる読後感になること。私にとって、著者のルポが無ければ、知り得なかった現実です。見聞を拡げる事ができ、本当にありがたいと思いました。
2023/11/22
あすなろ
僕は石井氏のノンフィクションに注目し初めている。今回は初の民間小児ホスピスを採り上げている。ごく普通の子供として生きたい、難病に苦しみ、それが小児癌ならば命を落としてしまう。それを書きながら、2016年迄は我が国には小児ホスピスがなく、その前後を書いている。全く知らなかった事を知り考えるのは読書人としての効能であり、学びである。死の不可避性から短くとも深く生きる。その為の小児緩和ケアというライフラインや子供のQOLを考えていく。多くの子供達の生き様をも織り込んで。その両方共に僕は深く考えさせられたのである
2024/05/12
akiᵕ̈
幼い我が子が難病に、ましてやその子を亡くす家族の悲しみは勿論のこと、難病を患い学校や社会と断絶され、辛い治療に向き合わなくてはいけない子どもたちに、延命よりも短くても何とか充実した人生を送ってもらいたいと願い、日本初の民間小児ホスピスを設立した医師を始めとする人たちの奮闘は余りにも温かい。初めてのことばかりの中、辛い現実に直面した難病の子どもたちから色んなことを教わって少しずつ理想に近づいて家族との絆を深めている。例え短かった命でもその子にとってかけがえのない人生だったと家族は救われる。辛くも感動の読後。
2023/05/13
niisun
『こどもホスピスの奇跡』。日本初の民間のこどもホスピス誕生までの“軌跡”が描かれています。しかし、読めばわかりますが、ホスピス誕生は決して“奇跡”ではなく、そこを目指した多くの志ある方たちの強い意思と行動の賜物だということが理解できます。また一方で、幼い子どもたちが、大人の想像を遥かに超える思考や意思、強さや行動力を持っているんだということを改めて思い知らされました。それと、子どもの想いを汲み取れる、まともな医療関係者や政治家、企業経営者がいることがわかり、日本もまだまだ捨てたもんじゃないなと感じました。
2023/06/06
Shoji
この作者の書くドキュメントは、ずしりと重たくて読むのが辛いものが多い印象だ。この本も、重たいテーマ。ホスピスという施設の役割上、どうしても難病や死を抜きに語ることはできない。しかも、施設利用者は純真無垢な子どもだ。内容は、子ども専用ホスピスが世間に認知されない中、奮闘する医療従事者の姿。そして施設利用側の子どもや親の姿だ。目頭を熱くしながら読み終えました。余談ですが、日本維新の会、ユニクロ、USJ、神戸アンパンマンこどもミュージアム、これらの団体に敬意を表します。ええ仕事してはりますわ。
2023/07/09
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