すごい言い訳! (新潮文庫)
すごい言い訳! (新潮文庫) / 感想・レビュー
Apple
文豪たちだからといって、言い訳の手紙を書く上で特別な技術や卓越して気の利いた言い回しとかをしているわけではありませんでした。手紙の内容もさることながら、文豪と呼ばれる人たちは誰も彼も個性がとても強いなーと感じました。ときに素直に、ときにあからさまに、大胆不敵な申し開きをすることで、場合によっては相手を呆れさせてしまうくらい出来るといい(?)のかなと思いました。謝罪や弁解の技法について学べる本だという気もしますが、結局はベースの信頼関係が相手と築けていることが前提かな、とも思いました。
2022/06/21
金吾
言い訳でない話もありますが、それぞれが文豪たちの人間性が伝わり、イメージと違う人もおり面白かったです。樋口一葉、谷崎潤一郎、武者小路実篤、林芙美子、山田風太郎、志賀直哉、夏目漱石が良かったです。
2023/10/31
駄目男
文字通り文豪たちの凄い言い訳になるわけだが、恋愛、結婚、借金、礼儀など縷々手紙であの手この手、のらりくらりでお茶を濁したり、何とか言い訳して引き伸ばしたりで相手が値を上げるような名分や迷文でごまかしたりしているようにも取れる。例えば織田作之助などはソプラノ歌手笹田和子に失恋した腹いせに、こんな手紙を友人に送っている。「さて、申しおくれましたが、小生嘘から出た真にて、笹田ライトコメディ女史と結婚の破目にいたりました。実は小生もひそかに文谷女史に失恋以来、もはや破れかぶれ、
2023/01/25
Inzaghico (Etsuko Oshita)
褒められている言い訳が多いけれど、こちらが最初から「言い訳」という目で見ている有島武郎が友人の絵を無断で手に美術展に出して落選してしまったとき、その友人への謝罪として「いい意志から出た事であるのを思って我慢して下さい」と書いたことに対し、著者は恩着せがましさを感じさせない、と書いているが、じゅうぶん恩着せがましいぞ。と鼻息荒く怒りつつも、樋口一葉の借金の言い訳は「まあなんという美文。これはしかたないか」と思ってしまうのはいかんいかん。
2022/11/10
田中寛一
多くの文豪たちの手紙から、言い訳のフレーズが集められている。文学作品からは到底想像もできない言い訳の数々。驚きと楽しさを存分に味わえる。作家だけに言い訳の言い回しも文学的である。原稿締切に間に合いそうにないときの言い訳、借金返済の言い訳、恋愛での騒動での言い訳、税金逃れをしようとしたときの言い訳、などなど。これらの言い訳を踏まえた上で、彼らの作品を読み直せば、読み方も深まるだろう。
2023/03/30
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