果ての花火―銀座開化おもかげ草紙 (新潮文庫)
果ての花火―銀座開化おもかげ草紙 (新潮文庫) / 感想・レビュー
優希
急速に欧米化し、銀座で交わります。昔と今、変わらないものもあり、変わったものもあり。時代に翻弄される人々の哀しみを感じずにはいられませんでした。
2022/02/25
藤枝梅安
シリーズ3作目。不倶戴天の敵・石谷の襲撃を決意した宗八郎と同行した仲間たちは、しかし、機会を失う。石谷が磐前県令になり東京を離れていたのだった。目標を失い虚しい日々を送る宗八郎だったが、気が付けばさまざまな事件に首を突っ込み解決していくのだった。6編の連作短編。一つ一つが「東京」に馴染めない人々と、「東京」を利用しようとする人々の滑稽なまでに悲しい奔走劇の果ての事件である。「江戸」の季節の移り変わりと、「東京」の暦とのずれを随所で描き、時代の板挟みになる人々の前向きな苦闘に筆者の温かな視線が注がれている。
2011/07/06
onasu
前作を読んでから久しい(5年前!)ので、自らの感想と解説で思い出しながら読んでいました。 地租改正や廃刀令など、明治の制度改正が続いた折の銀座の煉瓦街。西国での士族の蜂起も始まった頃。嗜虐性のある薩摩の高官を成敗する機を狙う元旗本の次男、久保田宗八郎や西洋家具を扱う店を営む元は大名の一族など、同じ煉瓦街に暮らす人々の出会うあれこれ。 嗜虐性とは、人を殺すことにより顕れる(高じる)ものなら、時代によるもの。そういう時代があったことを心に留めると共に、その頃の息吹を感じられる好著で、次作も何れの機会に。
2019/03/28
ふみえ
前作の流れを忘れてしまい物語に今一つ入り込めなかった。それにしても明治維新は大胆で恐ろしい。こんな急激な変わり身に着いていくのはなかなか難しいが、果敢に前進していく力強き庶民に頭が下がる。
2014/10/08
タツ フカガワ
シリーズ2作目は前作から1年後。今回も詐欺や盗難、殺人事件などに関わり合う宗八郞は、元岡っ引の老人、九郎兵衛と知り合う。その彼が言う。「人の性根は死ぬまで変わらない。なのに世の中が急速に変わるからとんでもないことになってしまう」と。その言葉のとおり、西国で士族の反乱が起き、宗八郞の身近では、縁ある人があの男に斬殺される。波乱の予感が目一杯膨らみつつ最終巻へ突入。
2017/11/05
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