往きて還らず (新潮文庫)
往きて還らず (新潮文庫) / 感想・レビュー
こばまり
痛ましくもどこか颯爽とした読後感を残す不思議な作品。改めて作家の無二の存在感を思い知る。解説は北方謙三氏。
2018/03/19
みつき
鹿児島の鹿屋航空基地が舞台の、三人の特攻隊員と一人の女性をめぐる物語『往きて還らず』は、お父様の断片的な思い出話を元に『生』と『性』を上手く交錯させ、本能的で官能的な美を昇華させたようなお話。後半『夢のまた夢』は、戦後のご自身の自伝的内容。ぐいぐい惹き込まれ寝不足になりながら一気読み。まず女性の描き方が上手い。絶世の美女で香り立つ濃密な色気を感じながらも、繊細な女性心理をしぐさ、表情からも見事に読み取ることができ、男性が書いた作品でこれほどまでに妖艶さと清純さが同居した魅力的な女性は読んだ事がありません。
2013/01/22
馨
所々エロいシーンもあったけれど美しく描いていたと思います。 特攻隊員を追って基地についてきた女性は沢山いたはずだし、この話のように散華された後に残った部下に託していくのは当時よくある話だったのではと思います。妻を兄弟に託すという話もよくあったそうですし・・・。 八重子さん生き残ってほしかったなぁ・・・。
2013/02/17
あぶらや
2部構成のドラマ。一部は敗戦間近の特攻隊を志願した兵士3人が一人の女性を愛し特攻に赴く順番に譲り渡して行く。そして女性はその3人を見送った後、自分もアメリカ軍の空爆に身を投じる。二部は一部の物語を見届けた兵士Kが終戦と伴に帰還し、家族を捨て元街娼の女と暮らすが最後は女がベトナムから戻ったアメリカ兵と結婚しアメリカへ渡たる決意をする。それを見届けるのがKの息子と言う設定。 団鬼六と言えばSM小説の大家だが、本作は性的な描写はあるがSM小説では無い。特に一部は迫るものがある。他の作品も読んでみたい。
2017/11/08
菊痴
突飛な発想をどっしり重たいテーマに落とし込むことで現実感がぐっと増している。筆力で読ませるとはこのことを言うのかと思う。
2017/05/10
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