異端の大義〈下〉 (新潮文庫)
異端の大義〈下〉 (新潮文庫) / 感想・レビュー
W-G
下巻から話の規模がスケールアップ。しかし、連載作品らしく、脱線したままで、まとめ切れていない伏線も散見され、中国カイザーでの、家電量販店の自社ブランドOEMや、邦武が結婚するためにはリンゴ園を継がなきゃいけない件などは、なかったことのように終わった。人員整理を任されて、鬱屈とする主人公をひたすら見せられた上巻よりは、明らかに勢いがあり、読むスピードは上がった。解説で、林と楊という、対極的な中国感を持つ部下役を登場させたことが、良い点のように書かれているが、全体的に、一度、中国に舞台を移した意味はない。
2022/04/20
gonta19
2009/3/30 新大阪のBooks Kioskで購入。 2015/4/2〜4/9 下巻の中盤以降から高見の反撃が始まって、前半のうつうつとした雰囲気がふっとんで爽快な感じ。でも、この小説は10年くらい前のものであるが、日本企業の置かれている状況を見事に予言あるいは表現していてある意味悲しくなる。企業も教育もそうであるが、日本の場合外国で上手くいってるシステムの形式だけを取り入れて、魂というか肝心な部分は日本的なままであったりするので、色々と矛盾が生じてくるんだろうなぁ。最近の研究所・大学などの高等教
2015/04/09
B-Beat
★門閥や閨閥そして派閥と。組織のために誰かがやらねばならない過酷で非情な業務。パワハラと呼ぶには生易し過ぎるような仕打ち。追われるように退社して再就職、中国北京に単身赴任、そして…。やられたらやりかえす、倍返しの視点では物足らなさというかあっさり感なきにしもあらずだったが、虹鱒が育った河川を下り海に出て、そこでたくましく成長して故郷の川を遡上するようなとの例えは運命に翻弄されながらも人生を真摯に生きてきた主人公の応援歌のようでこれもまた良しという感じ。楡周平作品もう少し読んでみよう。
2016/06/18
まつうら
(上巻の続き)工場閉鎖の労務責任者として、労働組合や自治体との交渉に臨むシーンも印象深い。互いに冷静に話し合わなくてはと考えつつも、どうしても感情が滲んだ交渉になってしまう。冷徹になり切れない高見に、かつて商社の鉄鋼部門閉鎖を指揮した父の言葉が厳しい。「旗幟を鮮明にしろ!」 でももうこんな不当人事に振り回されるのは終わりだ。ジョン・ノーマンとの再会に出来過ぎ感はあるのものの、「カイザー社へようこそ」の言葉は沁みた。これまで耐えてきて本当によかった! しかし高見の本当の戦いは、物語が終わった先に続くのだ!
2022/06/30
Walhalla
巻末の解説にもありましたが、作品中の「東洋電器産業」のモデルになっているであろう企業は、すぐに分かりますね。 この作品は2003~2005年にかけて連載されたそうですが、実際、2006年に再建に向けた資本増強計画が正式に実行されました。楡周平さんは予言者なのでしょうか。日本の半導体産業の衰退から始まり、メーカーと量販店の関係、同族経営の問題、早期希望退職制度のデメリット、地方の雇用問題、中国の消費傾向等々、物語としても見どころ満載でした。
2019/03/26
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