源氏物語九つの変奏 (新潮文庫)
源氏物語九つの変奏 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
9人の作家による『源氏物語』変奏。それぞれの作家が源氏の各巻を自分で選んだのか、編集者からの指定であったのかは不明。源氏一千年に合わせての発案のようだが、面白い企画である。もっと翻案化された作品が並ぶかと思ったが、それを試みたのは角田光代「若紫」と金原ひとみ「葵」くらい。小池昌代の「浮舟」も小説の枠組みとしてはそうだが、内実は翻案というには至らない。一方、金原ひとみは翻案から大きく逸脱しており、これではもうほとんど自身の出産記である。他の作家たちの短篇は町田康「末摘花」が徹底した俗語で抵抗してはいる⇒
2024/06/04
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
源氏物語を下敷きに、九人の作家さんが自由に編んだ九つの章。原作に忠実にと頑張ったのだろうな、という方もいれば、アレンジ強めで、あれ?現代の普通の話に「光」って名前つけただけ?みたいな作品もあったり。原作の匂い立つ感じはそのままに「マ・シェリ」とか使っちゃう江國香織さんの「夕顔」、大胆に現代風の言葉を使いながら原作を壊してない流石の町田さんの「末摘花」、和歌の現代訳が美しすぎる小池昌代さんの「浮舟」がすごくよかった。この3人の源氏物語全訳があれば読みたいなぁ。源氏物語初心者の入口にはとてもよかったです。
2019/08/01
がらくたどん
ずっと本棚にあったのに初読(笑)源氏物語を素材にした創作アソート。裏解説に作家九人が「現代語に訳す」とあるが、角田は紫ちゃんとの出会い、金原は葵の上の妊娠を現代に移した二次創作。小池昌代は現代を舞台に主人公が「浮舟」のエロスに墜ちていく趣向。他6名は各様のトーンでの現代語訳。町田康は相変わらずの町田節で「末摘花」を小噺にするし江國香織の「夕顔」はフワフワ。桐野夏生の「柏木」が思いの外律儀な訳文で「ん?」と思ったが幼く世間知らずな女三宮の芯に眠る強かさを描き流石。煮ようが焼こうが源氏は源氏の横綱相撲とも思う
2024/04/28
佐島楓
角田さんの紫の上が色っぽくて好きすぎる。そう、そう、おんなは生まれながらにしておんななのだよ……!
2018/05/29
まつこ
秋=月=光=源氏!ということで読んでみました(結構無理あり)。そのまま訳語で書かれているものもあれば、かなり崩したものもありました。どちらかといえば崩したものの方が作家さんの味が出てて好きでした。挙げれば、まず角田光代さんの『若紫』は高校の頃授業で習ったこともあり入りやすいのと、話の世界が面白かったです。金原ひとみさんの『葵』や町田康さんの『末摘花』は崩れ方少し違いますがどちらもそれが良いです。桐野夏生さんの『柏木』と江國香織さんの『夕顔』は恋焦がれる感情の表現が好きです。各々違えど、源氏の魅力は不変。
2014/09/08
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