龍の契り (新潮文庫 は 29-1)
龍の契り (新潮文庫 は 29-1) / 感想・レビュー
まつうら
1997年の香港返還をめぐる国際サスペンス。アヘン戦争当時はただの漁村だった香港を国際金融都市にまで発展させたイギリスは、なぜこんな簡単に香港を手放してしまったのか? 返還の裏側にあった出来事をめぐって、ユダヤ系財閥、中国政府、香港総督府、CIA、日本の外務省などが、それぞれの思惑のもとで駆け引きをする。いちばん目を引くのは、ロスチャイルド家に着想したと思しきゴルトシルト財閥。アヘン戦争の時代から政商として暗躍し、香港を足掛かりに中国と日本を飲み込もうとする逞しい野望には息をのむ。ユダヤ系財閥恐るべし!
2023/05/04
優希
香港を英国から中国へと返還する裏話と言えるでしょう。謎の密約と忽然と消えた機密文書というだけで、スパイものの香りが漂います。世紀末の北京で迎えるクライマックスに向けての勢いが凄いと思いました。
2021/06/15
A.T
イギリスの香港統治が1997年7月に終了する4年前の事件ーという設定 の日本版ミッション イン ポッシブル。日本版だから、スタントなしのカーチェイスとはいかないけど、かなり本格的な諜報サスペンスであり、香港返還を巡るミステリー。返還前のあの頃といえばまだ北京オリンピックの前後ではまるで別の国かとも思えるターニングポイントだったのかも。
2017/09/29
たくぼん
★★★★✩映画になりそうです。とても長編で、しかもこれが服部さんのデビュー作。高村薫さんと比べられてるけど、少し空気感が違う。高村さんよりはとても読みやすい。(情景が細かくない(苦笑))香港返還の際の密約に関して、日・英・中・香・米と繰り広げられるサスペンス。ノンフィクションかフィクションかわからなくなる部分があった。こんなの、好き。
2014/01/08
HoneyBear
かなり破天荒な国際諜報小説だが面白い。香港返還に関する密約をめぐって、スパイや外交官が暗躍。深くはないが、良いエンターテインメントで一気に読了。
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