海峡の鎮魂歌(レクイエム) (新潮文庫)
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海峡の鎮魂歌(レクイエム) (新潮文庫) / 感想・レビュー
ミカママ
他者への優しさに満ちた視点、静謐かつ壮絶な主人公の人生に圧倒された。海中での描写は、わたしのようにダイビング経験者なら、2倍その怖さが実感できるのでは。彼を支える静江の行き方もとても素敵だった(真似はできないが)。未読の山本周五郎賞・直木賞ダブル受賞の『邂逅の森』への期待をますます高めつつ。
2018/02/10
カムイ
今年一冊目は函館を舞台にした感動作品です。熊谷氏は動物小説を主に書かれている。今回は函館大火を皮切りに空襲、洞爺丸沈没、これでもかという悲劇に見舞われる主人公の啓介、函館の町並みやその当時の活況を垣間見れた。リアルタイムでは知らないが親からはその当時の様子は聞いていたので凄絶な景観を想像していた。感動作品と言いましたが読者によったら出来すぎでしょと突っ込みを入れるかも知れませんが、それを差し引きしても良い作品だと❗️苦難を乗り越えて絆によって巡り合わせはウソでしょと驚くばかりです。カムイは函館が好きで→
2022/01/02
ちょるる
「烈風のレクイエム」改題文庫版。ずっとしんどかった、函館の潜水夫・泊敬介は一体どれほどの災難に遭えばいいのだろうか?と。家族を失い、自身も怪我を負いながらも3度の災害から生還。その精神力と潜水夫として生きる姿勢に、凄いとしか言いようがない。新しい家族と共にあれほど頑張ったのだから、そんな奇蹟があってもいいでしょう、と思うほど。最後の数ページは、東日本大震災後の皆へのメッセージなんだろうと思う。熊本地震にも。力が湧いてくる1冊。
2016/06/08
to boy
3.11とは直接関係ないのですが、未来への希望を願って書かれた著作。主人公敬介の壮絶な運命に驚かされますが、同時に前向きな東北、函館の人たちの気持ちが伝わってきます。伸一郎が心配でしたが、後半の彼の登場で物語は一気に希望に満ちたものに変わっていきます。なんども涙しながら本を置き、絶望と戦う人たちの姿に感動しました。
2016/03/19
Norykid
凄まじく濃密で激しい運命のドラマですね。1人の男の流転の人生を追う形なので、途中までは『邂逅の森』のイメージで、ある漁師の一生なのかなと思いました。ところが途中から印象が変わり、方向性が全く異なると感じました。主人公は潜水を業務とする船の親方なのですが、彼が対峙するのは大自然でも天災でもなく、運命の女神ではないかと思います。しかも、とびきり性悪な奴です。容赦なく家族を引き裂き、乱暴に結びつける。気まぐれの度合いを超えてます。主人公は運命に翻弄されながらも折合いを付けていく。何度も目頭が熱くなりました。
2016/04/23
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