女という病 (新潮文庫)
女という病 (新潮文庫) / 感想・レビュー
まさきち
2000年代初頭に起きた女性絡みの事件を題材に、取材と著者の想像を織り交ぜて女性に強くみられる傾向=「病」とその要因、さらにそれが度を超えた時にもたらされる悲哀とを取りまとめたルポ兼エッセイのような一冊。これが現在だったらさしずめ某コラムで目にしたネットでセレブを装った投稿を過度に繰り返す「キラキラ女子」という形で表れてくるのかななどとひとりごちてしまいました。
2015/11/12
スノーマン
被害者加害者問わず女が主役の事件の数々。その女の心の中を中村うさぎが想像するかたち。ここに出てくる女、誰もが歪んでいる。虚言ばかりで取り繕う女、わざと謎めいた言動の女、人形みたいな中身が空洞になってしまう女。小学生にして既に容貌比べ人気比べの地獄にがんじがらめになり殺人を犯してしまう女の子…。グロテスクな事件ばかりやけど、女である以上、どこか自分にもこういう気持ちのカケラは潜んでいる。歪んでいるのは自分も同じ。怖くて笑えない。
2013/11/08
teru
実際に女性が起こした13の事件を元に、作者の独自の主観と色ずけで事件の深層に迫る、週刊誌のような短編でした。 偽皇族事件、佐世保同級生殺人事件、名古屋の赤い自転車通り魔事件等、私の記憶に残っている事件もあり、犯人の生い立ち、事件の背景等、とても興味深く読みました。 事実は小説より奇なりでした。
2015/05/26
明智紫苑
うさぎさんはナルシシズムを内なる天敵として設定しているが、どうも「私は損得勘定に左右されない女」というアピールのために「ナルシシズム」という概念を利用しているように見えてしまう。まあ、「女の損得勘定」については酒井順子さんが「料理」した方が適任だと思うな。
2014/05/02
リッツ
危ない事件に係わる女たちとは無縁な平凡な暮らしだし、どんな物にも旬とか適齢期とかあって、自分はもう遠いところからしか感じられないな、この実在の事件を扱った物語たちを…と思った、読み始めは。でも、いるのだろうか?心の隙間や(蓋をして見ないようにしている)心の底の沈澱物を持たない人が?なんて思ってしまうと中村うざぎが想像し解いて見せる彼女達のグロテスクな心理が段々怖さを増してきて重い。そしてこれを読んでまだ私は大丈夫と言い切れるひとがいたらスゴイと言うべきか、油断するなと言うべきか…。
2013/12/16
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