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砂のクロニクル〈下〉 (新潮文庫)

砂のクロニクル〈下〉 (新潮文庫)

砂のクロニクル〈下〉 (新潮文庫)

作家
船戸与一
出版社
新潮社
発売日
1994-11-30
ISBN
9784101343129
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砂のクロニクル〈下〉 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥

物語はいよいよ佳境に。蜂起間近のクルドゲリラ、きな臭い匂いのする革命防衛隊。武器の密輸入ははたして成功するのか?「ハジ」と呼ばれる二人の日本人。彼らを取り巻く人々の運命の糸は複雑に交差する。理想と現実。生と死。火薬と硝煙の匂い。ああ、やっぱり船戸さんの作品は、熱い!そして面白い!彼の作品のなかでも上位に来ますね。とはいえ、日本という国に日本人として生まれた私たちには、自らの国を持たぬクルド民族の心の内は永遠にわかることはないのだろうなあ。この物語はクルド民族の壮大なる叙事詩なのだ。★★★★★

2015/03/26

財布にジャック

革命防衛隊員、クルド・ゲリラ、武器商人の日本人、過去を抱えた女、隻脚の日本人・・・沢山の人間の人生が思想が複雑に絡まって物語が進められて来たのですが、下巻でどんどんとその糸が解けてきました。でも解ければ解けるほど不幸が増えていく展開に、ページをめくる手が何度もとまってしまいました。本当に凄い冒険小説に出合い、ルポルタージュをみせられたような衝撃的な内容で、かなり体力を消耗しました。

2010/09/20

ころりんぱ

ため息とともに読了。面白いか面白くないかっていう感じの本ではなかったな。クルドの民のこともほぼ知らなかったし、湾岸戦争の報道でも完全悪役として認識してたイラクの中でこんな事があったのか…と。どうして内戦が起きたり、ゲリラなどの過激な抗争があるのか、登場人物それぞれの生い立ちや経験を踏まえた信念を追って行くことで、理解とまではいかなくても、なんとなくそういうことだったのねと腑に落ちた。救いもなく、終わりもない。ふぅ。やはりため息。

2014/05/22

James Hayashi

80年代終わりのイランとは、まさしく世界が中東の危ういさに注目していた頃のこと。イラン革命後の混乱にホメイニ派の若き戦士、中東に大きな人口を持ちながら国を立ち上げられない民族クルド人。そこに妖しい影を持つ女性や、武器商人の日本人など多彩な人物を組み合わせ深みのある物語が語られている。自分もこの時期イランへ足を踏み入れているが、著者の取材の苦しさが目に浮かぶ。当時、状況を鑑みながらこれを読んだなら心を大きく揺さぶられたことだろう。

2018/06/24

ウィック&ぺディ

★★★★半 イスラム(イラン)革命後の中東において勝者が語る正史の裏側に潜む、もう一つの真実が、圧倒的な筆致で描かれている。著者が現地に赴き、徹底した取材によって裏付けられた骨太なストーリーといずれかの思想に偏らないバランス感覚が素晴らしい。自分の信じる信念や信仰も、立場が変われば悪にも正義にもなる。上巻から奮闘してきた登場人物の面々も、下巻においては、まさに砂上の楼閣のごとく歴史に飲み込まれていくように悲しい末路を辿っていく。

2021/10/13

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