雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫)
雷の波濤 満州国演義七 (新潮文庫) / 感想・レビュー
カムイ
遂に日米開戦に突入してしまう❗️アメリカとの戦争回避に奔走している人物が幾人もいたことに改めて時代に翻弄されたのだろう。東条英機も戦争回避を模索していた節がある、アメリカの経済復興にかけた戦争介入にも憤りを覚える、正義の裏の顔にどす黒いお面を被るのである。ノンフィクションの中にフィクションを入れ込ませ兄弟たちのこの時代の傍観者に仕立てている。残り二巻、満州を取り巻く世界の情勢、其にともないひたひたと忍び寄る影に…。
2022/01/16
マムみかん(*感想記入少なめです*)
第7巻。 前作がかなり辛かったので、続きを中々手に取れませんでした (2年半も積んでいたわ・笑)。 日独伊三国同盟、日米開戦、石油を求めての南進…。 政治家や軍上層部の、面子や権益の優先。邪魔者の容赦ない排除。 日本が急速に誤った方向へ進むのを、敷島4兄弟それぞれの立場を通して見続けることしかできないもどかしさ。 史実は動かせないので、フィクション部分である4兄弟の運命がどうなるのかドキドキです! 彼らは再会できるのかな。 やっぱり、一番心配なのは次郎兄さん~~☆
2018/10/22
ヨーイチ
史は好きで満州国も興味がある。でもこの巻は少々辛かった。いよいよ米国が参戦。独ソ戦、ゾルゲ事件、複雑怪奇の外交戦が繰り広げられるわけだが、この作者はそこら辺の情報を「全部、会話の形」で読者を提供している!この形式もある意味凄いが、読んで楽しいかはまた別問題。結果異常な程、事情に通じ、予知能力を備えた人物達が次々登場してくる事になる。読み始めから抱いていた「ある種の違和感」の正体がわかった。特にこの巻は大東亜戦争開戦当時の社会情勢を全て積み込んだ大歴史年表と呼ぶのが相応しい。続く
2016/11/14
kinnov
ナチス・ドイツの電撃的進行、満ソ緊張と泥沼化が続く支那事変。皇軍南進から太平洋戦争勃発。全ての国に絶対の正義はなく、国や個人の思惑、人種への偏見や利権が渦巻いているだけだ。誰一人この戦争の責任を逃れる事はできない。施政者を弱腰と批判し、感情的にさらにと望んだ一般の市民もだ。軍、政府官僚の責任を回避し有耶無耶にする体質、己を恥じないトップと大衆、全ての登場人物たちへの著者の視線は冷酷だ。告発もしなければ赦しもしない。救いがないのは、今の日本が何も変わっていない事だ。絶望を感じながらも目を離す事ができない。
2017/02/01
てぃと
小説の舞台は満州・中国から遂にマレー・シンガポールへ。戦火の拡大にあわせて敷島兄弟の行動範囲も更に遠くへ広がります。よく知らなかった満州の歴史を紐解きたくて読み始めた満州国演義シリーズですが、この辺りに来ればさすがに私の知っている歴史の知識を一致するようになりました。満州で馬賊だった次郎が軍属になってシンガポールにいるとは....なんとも数奇な運命です。弱みを握られている太郎はこのままドツボにハマっていく気配が.....。クライマックスに近づいていくのを強く感じます。
2016/11/21
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