ハイスクール1968 (新潮文庫)
ハイスクール1968 (新潮文庫) / 感想・レビュー
星落秋風五丈原
日本の若者が最も熱かった1968年に、高校時代を送った氏の自伝。昭和生まれといっても、ビートルズも、三島由紀夫も、毛沢東も、映像資料や書籍で知る事の方が多い世代から見れば、本書の内容は、同世代の出来事というより、歴史の一部みたいな感覚の方が強い。同じ時代を舞台にしていても、村上龍の自伝的小説『69』に登場する明るく楽しい高校生の方が、より身近に感じられる。距離感が違う理由は、文章から受ける印象だ。まるで日本全体が熱病にかかったかのような時代なのに、それを伝える文章は非常に冷静で、堅い。
2008/04/18
モモイロペリカン
めちゃめちゃ良かった。本当にこの時代を追体験する感覚で読めます。当時の大学生ではなく高校生の目線なので、なんだか頼りなくて不安定で、それも良い。学生運動に関する作品に触れるたびに人間の無力さや愚かさを痛感します。それでもこの時代の若者たちは、平成生まれの私にとって、涙が出るほど眩しく見えるのです。
2024/06/25
ニールキャサディ
おそらく三読目。解説で鹿島茂も話しているが、69年と70年の断絶がどのようなものであったか、なかなか後進世代は理解が難しいが、この本を読むと雰囲気が分かる。ただお祭り騒ぎで学生運動をしていたのが大多数と思っていたが、理想と革命が挫折し、傷付き深く拘泥し続けたひとが多くいたこと、その人たちのコメントは非常に興味深かった。
2013/02/09
トシヤマグチ
高校時代の回想エッセイ。ただし舞台は超進学校、東京教育大付属駒場高校なので、「こいつら本当に高校生かよ」と思ってしまうほど、読書家でインテリで、音楽や映画など多趣味。四方田は過去の自分を美化しすぎるきらいがあるが、それは本書にも顕著。当時の同級生、先輩曰く、中身はほぼでたらめだとか。面白いから別にいいけど。
2011/07/16
Yasutaka Nishimoto
東京教育大附属高に在籍していた頃の、著者の自叙伝。特にバリケード封鎖をした日の1日が、著者を大きく変えたことを取り上げる。自分に置き換えると、ハイスクール1988とかになるのだが、そんな出来事は、少なくとも高校時代には無いなぁ… 連載時に抗議も殺到したという本書、当事者だったのかどうかは一般読者には分かりかねるが、読み物としては極上。
2017/06/06
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