おくることば (新潮文庫 し 43-32)
おくることば (新潮文庫 し 43-32) / 感想・レビュー
こーた
けっこう忘れてるな、という感想がまず浮かぶ。作家の見たコロナ禍の記録。僕は作者と20年、彼の教え子たちとも20年、歳が離れていて、ついでに云うと僕の子どもはその若者たちからさらに20歳、年が下だ。それほど隔たっていると、おなじ場所に立っても、見える景色は(忘れるというより)そもそも全然ちがっているのかもしれない。そのことに愕然とする。収録作中、ほとんど唯一の小説「反抗期」がよかった。が、おなじトーンで語られるエッセイは驚くほど浅はかで、ほとんど何も言っていない。文体がテーマに合っていないようにおもえた。
2023/08/03
夜長月🌙@新潮部
重松清さんが早稲田大学の先生をしているとは知りませんでした。ゼミの学生は全員で40名。そして私たち読者に41人目の学生として呼びかけてくれています。コロナ下で不自由な思いをする学生に寄り添い言葉を届ける。思っているだけでは伝わらない。言葉にし文字にしてこそ、つながりができていきます。
2023/09/09
sayuri
「2020年のせいくらべ」「夜明けまえに目がさめて」「おくることば」「反抗期」「ステラ2021」「星野先生の宿題」ショートショートや短編、エッセイなどを纏めた6篇収録。大半は重松さんが教鞭を取る早稲田大学のゼミ生との交流が描かれる。コロナ禍真っ只中に学生時代を過ごし、たくさんの事を我慢した生徒達。彼らの辛い気持ちに寄り添い心のこもった言葉を送り続ける重松さんの姿勢に胸が温かくなる。重松さんが病気を患っておられた事を本書で初めて知った。どうか身体に気をつけて、これからも素敵な作品を届けてくださいますように。
2023/09/04
ジュン
2020年に国内でCOVID19 が確認されて、未知のウィルスと闘い続けた日々を大学でゼミを受け持ってる作者が日記形式で書いている冒頭の作品では、読者の私もゼミ生の一人として、重松先生の投げかけて来る問いに答えを探し、こんな筈じゃなかった大学時代を過ごしてるゼミの仲間?に思いを馳せたりできました。卒業生に向けたおくることばは言葉の宝箱の様。何度も折りに触れ読み返したい。でも傑作は何と言っても巻末にあった小中学生向けの作品。読んだ子供達が様々な事を話し合ったり、気付きを貰える素晴らしい作品だと思いました。
2023/12/03
ピース
コロナ禍に関する話と作者自身が大学で教える実体験の話。ニュースとかで見聞きはしたが、特に地方から東京に出てきた大学生にとってコロナ禍は想像を絶するツラさだっただろう。作者はそんな学生と直接会っているからこそ彼らに何かを伝えたかったんだろう。こんな先生の舌で学べた学生にとっては少なからず救いになったことだろう。
2023/07/24
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