窓の魚 (新潮文庫)
窓の魚 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
西加奈子さんの、まずは純文学に属するといってよい小説。2組の男女の奇妙な愛のあり方を描く。4人の個々の独白から、我々読者はその全体像を朧げながら知ることにはなるのだが、究極は誰も互いに互いのことはわからないし、読者もまたむしろ混沌の中に投げ出されることになる。4人のそれぞれが抱える身体的欠陥と、ある種の漠然とした不安。それこそが我々の共有するものなのだ。翌朝、池に浮かんだ死体は、その表象に一層の影を落とすことになる。この人はこんな小説も書くのだ。この先には新しい小説世界が広がってゆくのだろうか。
2016/11/01
ミカママ
うぅん、男も女も病んどるな。西さんの感性は好き。この空気感は苦手。
2017/01/19
ehirano1
これは想像力をかなり掻き立てる内容でした。解説はあの中村文則さんで、本作を以て「余韻に浸りたくなる」とのことですが、あの後4人はどうなったの?猫の存在は何を示唆しているのか?死んだのは誰なのか?(←いや、これは実はあんまり興味ないwww)、と余韻どころではなく、ひたすらこれらについての想像を忙しく愉しみました。
2020/09/02
おしゃべりメガネ
う~ん、とにかく不思議で独特な雰囲気のある作品でした。明るく痛快な西さんワールドではなく。、「白黒」で分けるところの「黒」西さん作品だったように思えます。4人の男女がある温泉に宿泊すると一体の死体が・・・とどこにでもあるようなミステリーネタですが、そんな話の軸をまったく気にしない角度で、男女4人それぞれの視点での話が展開します。食い入るように読みふけるとはまた違った惹きつける感じが本作にはありました。特に起伏があるワケではないので、単調ではありますがなぜか読む手が止まらなくなり、気が付けば読了してました。
2016/05/19
相田うえお
★★☆☆☆温泉に入って頭洗ったら間違って両耳に水が入って聞こえにくいぞ!どうにもならずそのまま夕食で鍋食べたら今度はメガネが めちゃ曇って何を食べてるのかわからない。霞んで目の前視界数センチ。もういい!ビールだけ飲も!と、空きっ腹にしこたま飲んだら頭がぽわ〜ん。もう飲めん!しゃーねーや!本でも読もう〜。という状況で読書したという感じ。輪郭が不明瞭で悶々。へたに触ると割れてしまうガラス細工のような危うさ妖しさのある話。こういう話は好きな方には堪らないのでしょうが、話の到着点を明瞭な解で表せない作品かな。
2016/11/29
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