女流阿房列車 (新潮文庫 さ 23-10)
女流阿房列車 (新潮文庫 さ 23-10) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
たとえ車窓からの景色がいかに絶景であろうとも、睡魔にはついつい身をまかせてしまうという、ゆる~い鉄子を自認する酒井順子さんにハードな鉄旅を強いる「小説新潮」の企画シリーズ。全11旅+おまけ1。タイトルはいうまでもなく、内田百閒に全面的に敬意を表したもの。また、随所に今は亡き先達、宮脇俊三氏へのオマージュがほの見える。男もすなる鉄旅を女もしてみんとて旅に出た酒井順子さんと新潮社の編集者K嬢の弥次・喜多旅。恋はないけれど、うまいものには目がない。鉄旅のゆるさは筆力でカヴァーしつつ、読んで楽しい本に仕上がった。
2014/01/09
昼寝猫
鉄道旅エッセイなのだが普通の旅行ではない。編集部の無茶振りに乗って超ハードな鉄道旅に挑む酒井順子さんが楽しい。文章力には定評のある酒井さんだから、どんなシチュエーションに陥ろうと傍観者目線の冷静な表現が冴える。読んでいて本当に旅と鉄道がお好きなんだなあと思った。タイトルは当然ながら内田百閒先生の阿房列車を意識している。ここまでハードな旅はご勘弁願いたいが、酒井さんと一緒にただ車窓を眺めるだけの静かな鉄道旅がしてみたい。
2024/01/23
takaC
これはイイ。阿房列車オトコの自分にはとても楽しめる一冊であるのは確か。
2014/03/03
いたろう
東京の地下鉄全線を1日で完乗する旅、24時間鈍行列車に乗り続ける耐久鈍行列車の旅、東海道を53回乗り換えて京都を目指す「東海道五十三乗り継ぎ」等々、こんな馬鹿馬鹿しくも無茶な鉄道旅行を出版社に言われるままに行う酒井さんが可笑しい。折角の絶景ポイントで爆睡している酒井さん、これは果たして旅行記なのか(笑) 鉄道が手段ではなく、目的になる旅もまた楽しからずや。こんなお馬鹿な旅ができるのは、実は最高に贅沢なことなのかも。時間があればやってみたい(と言いつつ、時間ができてもやらないだろうけど)
2016/04/04
ドナルド@灯れ松明の火
乗り鉄女酒井さんが本領発揮!地下鉄完乗は既知だったが新潮社ハード鉄男の田中さんの数々の企画に従っていくがこの受け身の乗車紀行文が進化していて酒井さんの従来の鉄エッセイの中で一番面白かった。新潮社側の企画なので完乗時酒井さんを出迎える新潮社役職者の登場が異色だった。新潮&小学館のコラボ企画も斬新で楽しめた。 かなりお薦め
2018/10/02
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