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真夜中のたずねびと (新潮文庫 つ 27-2)

真夜中のたずねびと (新潮文庫 つ 27-2)

真夜中のたずねびと (新潮文庫 つ 27-2)

作家
恒川光太郎
出版社
新潮社
発売日
2023-04-26
ISBN
9784101351322
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真夜中のたずねびと (新潮文庫 つ 27-2) / 感想・レビュー

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眠る山猫屋

引き寄せられてしまう感覚は自分だけなのか?微かに繋がる、連作というには淡い物語。冒頭、阪神淡路大震災を独り生き延び、廃屋などを転々としていたアキが、老婆と出会い再生していくところから始まる。こんな子も、現実にいたかもしれないな。アキは長じて人捜しに特化した探偵となり、様々な人々と微かに触れ合っていく。殺人鬼の息子、殺人者の姉、そして殺人者たち。それぞれに闇落ちした事情があり、自己弁護の言い分もある。得体の知れない悪意に追い詰められていたり、解放されて自由に羽ばたいていったり。闇の底で息を殺して辺りを窺う。

2023/05/18

アッシュ姉

大好きな恒川さんの最新文庫。久々の書店購入本。張り切ってブックカバーも新調したのでウキウキ。でもいつものワクワク感があまり無かったかな。解説に新境地とあってなるほど。著者名を伏せられていたら面白かっただろう。恒川さんだとハードルが上がってしまい、少し物足りなかったけど、また読み返したいので大切に本棚へ。

2023/07/31

スカラベ

いつもの幻想的な作風とは一線を画し、人間臭い現実を軸にした5編の短編集。とはいえ、それぞれの話には、ひとかけのスパイスのように怪異の要素が散りばめられている。死者の声を聞いたアキがやがて人探し探偵となってたずね人の依頼を受け、人を繋ぎ物語を繋いでいく。それぞれの登場人物も各話で微妙に繋がっていたりして、構成の妙は相変わらずうまい。

2023/08/30

ざるこ

5篇。いつものノスタルジックな恒川作品ではない。震災孤児、ネグレクト、轢き逃げなど身近でリアルな死の匂いを放つやるせない作品群。加害者と被害者、そしてその両者が多大な影響を及ぼす血縁者たち。どれもとても細かに心理描写がなされており「母の肖像」母親のだらしなくて情けなくて狡く責任転嫁するさまと、でもどこか情を感じる展開は本当に見事。憎しみによる復讐も現実逃避による新たな人格の形成も、精神への相当な重圧を感じて息苦しい。「真夜中の秘密」は犯罪なのに許容しそうになってしまう。もし自分なら…イヤ、ダメだと戒める。

2023/05/01

ちょん

大好きな恒川さん、楽しみに温めて温めてようやく読みました。やっぱり最高の1冊。気持ち良い連作で、どの話も静かに不穏。アキの物語でシリーズ化してほしい。恒川さんの本もっと読みたいなぁ✨いつか全部読み終わるのが怖くてちょっとずつしか読めない苦しみ。

2023/09/24

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