今昔百鬼拾遺 天狗 (新潮文庫)
今昔百鬼拾遺 天狗 (新潮文庫) / 感想・レビュー
starbro
京極 夏彦は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。『河童』に続いて、3社横断3カ月連続刊行第3弾のテーマは、天狗でした。あまり天狗は関係ないなぁと思いつつ、一気読みでした。天狗の正体は、迫害を受け山に隠棲したキリシタンの欧羅巴人でしょうか?図書館の予約の関係で最後にシリーズ第一弾の『鬼』を読みます。
2019/08/02
さくりや
笑いたいときに笑えて、悲しみたいときに悲しめて、ムカつきたいときにムカつけて、キメるところはキメてくれる。こういう作品に出会えるのが嬉しい。宗右衛門とやりとりする敦子さん、お兄さんそっくりじゃないの笑。LGBT問題についてかなり突っ込んでいる本作だが、私の中でもやもやしていたものが文章化されていてなんとなくすっきり。ストーリーは全くすっきりしなかったが。天津家の男共の台詞は目が拒否するレベル美弥子・美由紀の清廉な啖呵と青木君の清涼感で救われたが、本当にあそこまでガチガチの偏見ってあるものかねえ。
2019/06/27
ポルコ
三人ヒロインの痛快小説。今回は百器徒然袋のスピンオフでもあり、榎木津ビルヂングと粉砕女子美弥子の再登場に感動。三度大活躍の美由紀の大演説は9ページにも渡り感涙。まだ15歳なのに良く頑張ったと誉めてあげたい。
2019/07/01
bunmei
魑魅魍魎のおどろおどろしい世界観を漂わせる京極作品。舞台は50年ほど前の昭和の時代。やや言い回しや登場人物の相関関係を理解するのに難解な部分も…。高尾山に登山に行ったきり天狗の神隠しの如く、行方不明になっている友人を案じ、女子大生の美由紀と共に調査を始める美弥子。そこに、別の場所で友人の服を着た腐乱死体が発見される中、高尾山での落とし穴、別の首吊り死体、白装束等が見つかり事件が迷走していきます。当時はまだ容認されていなかった同性愛によって、歪んだ親子愛や傲慢さを生み出し、真相に迫るキーとなっていきます。
2019/11/20
nobby
「高慢だとお思いになったでしょう」という自虐から、傲慢・驕慢など難解に自他を評しながら最後また「高慢な仰りようですわねー」と叱責で終わる今回は天狗。山の神様と云われながらも人に重ねて形容するならクズとかバカとか…思えば「迚(とて)も恐(こわ)い」鬼や「何て品のない…」河童あっての天狗談義だが、大半がそこに割かれるのに少々疲れた(笑)首吊りに入れ替わりに陥穽(おとしあな)にと全く噛み合わない顛末の辿り着く偏見や侮辱には憤怒極まりない!「いい加減にしてくださいッ」最後に轟く偉くもない少女の叫びにようやく安堵…
2021/05/20
感想・レビューをもっと見る