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文庫版 ヒトごろし(下) (新潮文庫)

文庫版 ヒトごろし(下) (新潮文庫)

文庫版 ヒトごろし(下) (新潮文庫)

作家
京極夏彦
出版社
新潮社
発売日
2020-09-29
ISBN
9784101353555
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文庫版 ヒトごろし(下) (新潮文庫) / 感想・レビュー

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chantal(シャンタール)

【今更京極倶楽部】人を殺したい願望を心に持ち続ける自分は最早人ではない、「人外」であると自覚する土方歳三。人殺しは大罪である、だから合法的に人殺しをするために新選組を作った。そう、彼のやった事は決して許される事ではない。しかし人外なりの美学はある。決して戦で殺したい訳ではない、上に立つ人間が莫迦ならば多くの兵隊が死ぬ、そして死ぬのは町人百姓達。死なせないのが上の者の役割なのでは?そうでなければ人殺しと何が変わらぬのか?最後の勝海舟とのやりとりは圧巻。本当の政とは何か?今の偉いさん達にも読んで欲しい。

2021/02/15

優希

土方さんは刹那的に殺意を抱き、人を殺す。もはや人外と言えますね。人殺しという大罪を正当化するために新選組を結成したと言ってもいいでしょう。京を震撼させつつも、近代化の波は新選組の存在意義を失い、土方さんは自らの道を突き進むことになります。意地や忠義で人を殺してない信念は格好良いの一言に尽きます。最後の勝海舟とのやりとりは圧巻ですね。本当の政とは何かを問いかけられているようでした。血の路、荒野の路を歩む土方さんの生き方に貫かれます。

2021/03/01

南雲吾朗

歳三は人を殺したい。但し合法的に人を殺すことに固執する。その方が効率的に永続的に人殺しが出来るからだ。しかし、人を殺すことが目的なのに歳三の拘りにより、結果的に人を活かす事となってしまっている。「あんたは人を活かそうとしてここに来た。俺は人殺しを続けるためにここに来た。それなのに、あんたは人を殺し、俺は命を助けている。こんな莫迦な話はねえぞ。」歳三が榎本に対して怒鳴ったこの言葉に深いものを感じる。根本的な鬼畜ぶりは変わらないものの歳を重ねるごとに人間としての厚みも増してきている人物像はとにかくカッコいい。

2021/09/30

みこ

新選組小説としては土方の行動原理を深く掘り下げており、120点の出来である。ただし、上巻との比だと70点程度かもしれない。人を殺したいという欲望に囚われた感情移入のできないサイコパスな土方を貫き通して欲しかったが、正論で山南を論破するなど土方自身が合理的に動こうとし過ぎているように感じられた。もう少し斬新な新選組を期待していたが、結局彼はいつものように近藤勇を盛り立て、新選組を守り、最後まで格好良い生き方を貫いていた。

2020/11/27

白いワンコ

文庫版再読読了。書きたいことは多いのだが、特には山崎丞のこと。土方・沖田に次ぐ第三の人外であり、之定・十一代兼定に続く土方第三の得物が、土方をヒトごろしたらしめた。池上遼一先生の寄稿文と呉座勇一先生の解説もよかった。そして、誰からも理解されぬ土方が勝海舟と分かり合う場面がやはりよかった。書楼弔堂を再び訪れようと、思い至ったのでした

2021/02/03

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