大川契り: 善人長屋 (新潮文庫)
大川契り: 善人長屋 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ふじさん
善人長屋の続編。今回も千鳥屋に関わる様々な家族の生き様を描いた作品。特に今回は、千鳥屋の儀右衛門一家に関わる題材が多く、「泥つき大根」では息子倫太郎の義母の恋の顛末が、「雁金貸し」では娘のお佳代と儀右衛門夫婦との確執や軋轢の訳が、「鴛鴦の櫛」「大川契り」では妻のお俊の若かりし頃のやんちゃぶりや儀右衛門との出会いや結婚に至る経緯が丁寧に描かれており、まさに千鳥屋一家の家族物語になっている。それぞれの登場人物の個性が際立っていて読み応えがあった。
2021/04/06
ぶち
シリーズ3作目です。お縫ちゃんの実の姉さんや兄さんも登場し、さらに両親(儀右衛門とお俊)の馴れ初めも読めて、ますますこの善人長屋に愛着が増していきます。両親の馴れ初めの経緯はたいへんに切なく、それを聞かされたお縫ちゃんも大人へと一歩近づいたのかな。それにしても加助の善人ぶりは度を越してきたようです。もはや、面倒事製造機のようです。本文中にあった"正義の鎌を振り回して、あとには草も生えない"は、加助に進呈したいくらいです。お縫ちゃんの恋の行方やお佳代姉さんと両親との和解など、まだまだ続きが読みたいです。
2022/09/03
はにこ
今回も加助が持ち込むやっかいごとに翻弄される善人長屋。加助のせいで店には強盗が入るし、人質にはなるしでお縫も大変だったねぇ。お俊の若い頃の話で苦労が偲ばれた。強くなるには色んな苦労を経ているのかもしれないね。文吉とお縫、二人も良い年なんだからそろそろ自分の気持ちに気がつかないとね。
2020/09/29
ふう
善人長屋シリーズ3作目。相変わらず加助は人助けに精を出し、中には助けてもらっておきながら悪事でお返しをするとんでもない輩もいて、長屋の人々がめんどうに巻き込まれていきます。そのめんどうの中で、お縫の家族が抱えていた秘密が語られ、とくに母親がそんな深い傷を負っていたのかと驚かされました。それでも、多分加助は変わらない。長屋のみんなも変わらない。お縫ももっともっと長屋の一員としてたくましく生きていくことでしょう。
2022/11/30
酔拳
シリーズ3作目。今回も、加助が道端で倒れていた男を助けた事から、厄介事が起きてしまう。ここまでくると、人助けもいいことなのか?そうでないのか?わからなくなる。主人公のお縫いに母のお俊が、結婚前のお俊の事を語るのだが、その壮絶さに絶句した。そのことを知りながら、結婚をした儀一の男気がすごいと思ったし、その後、お縫いの姉がそのことで、お母さんから離れていくことは、とても悲しいことだった。次の4作目、書いて欲しいな。
2022/07/05
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