王国〈その1〉アンドロメダ・ハイツ (新潮文庫)
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王国〈その1〉アンドロメダ・ハイツ (新潮文庫) / 感想・レビュー
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よしもとばななの作品で、こんなに読むのに時間がかかったのは、はじめてかもしれない。読みにくさも若干あるのかもしれないが、どこも重要で読み飛ばすことができない言葉や教訓や必要不可欠な要素が詰まっているように思えるのだ。祖母との奇妙な商売、山を離れてはじめての都会生活、都会での距離感に苦しむ主人公…。何かがアンテナに引っかかり、どこかが自分にシンクロする。その繰り返しがいつしか他人事ではなく我が事のようになっていくのだ。自然の摂理を壊すことの恐ろしさ、人のもつ強さと弱さ。さまざまなことを考えさせられる。
2016/09/29
ヴェネツィア
サボテンや植物と交感できる雫石、不思議な能力を持った楓、おばあちゃんも含めると、この物語には少なくても3人の「普通ではない」人達が登場する。一つ一つのことがらをとれば、いずれもが非日常的なことなのだけれど、それらは物語全体の中に溶け込んでいて、少しも違和感を感じさせることがない。この物語は、『王国』シリーズという長編構想の第1巻なので、まだこの先、雫石がどのようなところに着地するのかはわからないのだが、植物や鉱物や空気までも含む空間(世界あるいは宇宙)との共生に向かっているように思われる。
2012/07/16
いたろう
3冊+1冊のシリーズ1作め。主人公の女性、雫石が言うところの、「長く、くだらなく、なんということのない物語」「童話よりも幼く、寓話にしては教訓が得られない」「ちょっとゆがんだおとぎ話」のはじまり。3冊+1冊というと、大作のようだが、本編の3冊で、文庫で合計500ページ強。全部で1冊で十分なのでは?という気がしないでもないが・・・。雫石は、イケメンでゲイの、目が不自由な占い師、楓のアシスタントとして働いていたが、楓がしばらく海外に行くことになり、楓の留守宅に住むことに・・・。これからどんな話に? その2へ。
2022/07/29
風眠
植物と会話できる能力を持っている雫石という女の子が、山から降りて都会で生きていく成長物語。山の草木の匂いや、夜空の星々の官能や、雫石の日常は感性豊かで、そしてとても丁寧だ。自分が大切にしているものを守りながら、都会で生きていくことは大変なことだけれど、服を丁寧にたたむとか、字をきれいに書くとか、時間をかけてお茶をいれるとか、日々を大切に生きている人は素敵だなと思う。病を癒すためのお茶の葉を、きれいに包むことによって、お茶自身にも飲む人にも、大切で特別な何かが生まれる、というおばあちゃんの言葉が好き。
2012/10/07
たか
透明感のある不思議な物語。登場人物が魅力的に描かれている。女の子向けの話かな。C評価
2018/12/29
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