さきちゃんたちの夜 (新潮文庫)
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さきちゃんたちの夜 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
無料より怖いものはないってほんとにその通り。都会ではいろんなものがあふれてて、対価に見合うものを自分で選びとって好きなものをおうちにもって帰るってすごくわかりやすくて楽ちん。でも心打たれるのはいつだって「無償の」愛だったりする。階段から落ちたひとに手を差しのべたり救急車のためにみんなで道をあけたり。でも無償のものに慣れてしまうといつしかそれを期待してしまう。その期待の目ってなんだかうんざりだ。うざったくて暑苦しくて、そういう人と人のこと。でも嫌いじゃない部分もあるってこと、忘れずにいたい。
2020/01/13
ケイ
色んなさきちゃんが出てくる。どのさきちゃんも、少しイタコのようなのがヘン。一番目のさきちゃんの話はよかった。少しずつややこしい関係が、うまくすっとまとまっているから。しかし、ページを捲るに連れ、そのちんまりとまとまる感じが段々とハナについてきた。出来過ぎ、いい人ぶり過ぎ、そんな小ぢんまりとはずっと続けられないわよ、なんてイヤな事を言う私を引き出してくれる短編たち。彼らがつくる料理もおいしそうではないし。よく見えない毒があるんじゃないかしら。そして後書きに驚く。ばななさん、どうしちゃったのかなあ。
2017/07/07
ケンイチミズバ
その人の気?や、なんて言うか魂とかスピリチュアルな何かが染み着いたものってあると思う。警察もお手上げ、霊能力者が証拠品をさわって遺体のありかを言い当てるみたいなの、デッドゾーンのジョニーみたいなさきちゃん。お風呂場にあった体を洗うスポンジを嗅いだらインドに跳んだ。連絡もしないでいなくなった高崎君は本場でヨガ。心細くて、頼っちゃいけないさきちゃんを呼んだ彼の彼はそれを信じちゃうんだ。全編優しい。私の気がいちばん染み込んでるのは、いつも頭から湯気を昇らせて叩いてるキーボードかもしれない。怒気なんだけど。
2017/10/10
masa@レビューお休み中
まるでパラレルワールドに舞い込んだような気持ちにさせられる。それは、なぜかというと登場人物も状況も世界も異なるのに、同じ「さき」という名前の女性たちが登場するからなのだ。さきたちの奇跡を描いた短篇集というだけでも、何か特別なものを感じるというのに、この作品は短篇とは思わせないような奥の深さと、味わいの深さがある。それだけではなくて、もしかすると自分に宛てたメッセージを掴むことができるかもしれない。あなたへのメッセージを受けとるために、さきちゃんたちの夜を覗いてみませんか?
2015/12/04
ゴンゾウ@新潮部
さきちゃんの5つの短編集。この短編集には6人のさきちゃんが登場する。どのさきちゃんも程よく幸せで程よく不幸せだった。そして感受性が豊かでスピリチャルだ。家族の結びつき、人との結びつきがとても大切だと感じた。【新潮文庫の100冊 2017】
2017/07/19
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