オキーフの恋人オズワルドの追憶 下 (新潮文庫 つ 17-11)
オキーフの恋人オズワルドの追憶 下 (新潮文庫 つ 17-11) / 感想・レビュー
紅香@本購入まであと9冊
『諦めることを学ぶしかないのだろうか。世界の九割の出来事は諦めが産み落としているように思える』小説と現実がゆっくり混ざり始める。自分を自分だと証明するのに私達は記憶しか頼るものがない。今の場所を特定するには今までの記憶に縋るしかない。すべての喜びと苦しみは記憶の中にある。記憶、キオク、きおく。。夢のような世界。私は夢の要素。私から私を剥がす行為がこの世で一番恐ろしいことだと知る。私達は脆い。だけど記憶を操って強くもなれる。『残りの一割のために僕らは抵抗しているのだ。その一割を守ることが人間の仕事だと』
2018/01/19
タナー
辻さんの作品を読み始めた頃は、すぐに読み終えてしまうような薄い本ばかりだった。勿論薄いからと言っても、面白くないわけではなく、いろんな感動も頂いた。このところ、上下巻ある長い作品も読むようになってきた。そんな中でスゴく気になっていたのが今作。「オキーフの恋人」と、その中に登場する作家・高坂譲が描く「オズワルドの追憶」という二つの物語が交互に同時に進行して行く。そしてその二つが交錯するとき、この黙示録的傑作のなかに隠された謎が明かされることとなる。現代を生きる自分たちが忘れていた....
2021/05/21
やーるー
静かに淡々と進行するオキーフの恋人、アクティヴに展開する劇中小説のオズワルドの追憶、それぞれの登場人物がやがて混線…。自分がパラノイアではないかと精神のバランスを崩していく場面に恐怖を感じる。久しぶりに読み応えある作品だったが、ミステリー作品ではないのでオズワルドの方の謎ときはなくても良かったと思う。惜しい。ところでブラックブッシュが気になる。飲んでみたい。
2013/08/24
aki(漫画スキー)
前巻からの勢い失わず面白い。先が気になる。ぐいぐいと読んでいけました。でも最後のオチ?なんだか変な方向に。。 佳境に入るまでは自分の中で一番のお気に入り作品になるかもと思ったのですが、そうはなりませんでした。ですがこれが辻仁成らしさなのかなとも。一番にはならなかったけどとても読み応えのある作品で、読み直すとまた違う面白さが見つかりそうです。
かぎぎ
果てしない旅がようやく終わった。スタートから向こうにある、並行する道を横目に見つつ旅が始まった。合流したくともなかなか合流できない不思議な感覚にとらわれながら、とにかくてくてくと歩き続けた。途中には様々な景色が目を楽しませてくれた。また時には嵐に似たようなものも体験はした。が、思い返してみると、すべては終局へ至るのに必要不可欠なことであった。二つの道が一つの道へとなる時の驚きと感動は経験した者でないと決して分からない。ぜひこの長い道へと一歩を踏み出してもらいたい。
2015/05/13
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