魔術はささやく (新潮文庫)
魔術はささやく (新潮文庫) / 感想・レビュー
Tetchy
なんとも足が地についた小説だ。通常新聞で三行記事として処理される瑣末な女性の自殺事件、そして交通事故。毎日洪水のように報道される数多の情報に埋没されてしまう事件はしかし、当事者には暗い翳を落とすのだ。たとえ事件が解決されても、適切に処理されても被害者、加害者の双方には一生消えない心の傷を残す。そんな誰もがいつ陥ってもおかしくない状況を一般市民の、当事者の視座から宮部氏はしっかりと描く。それに加え、主人公を務める日下守という少年の造形が素晴らしい。途中まで傑作だと思っていたが、あの真相で引いてしまった。残念
2009/09/14
ehirano1
解説・・・・・、力入り過ぎ。あんたどんだけ宮部さんをべた褒めなんですか、と言いたくなるくらい力が入っています。しかし、相応の魅力が本書にあったのは事実でしたし、べた褒めするのもわかる気がします。
2017/10/07
遥かなる想い
ひとりの少年が、犯罪を追求していくうちに 悩み・成長していく話は理屈なしに面白い。1989年日本推理サスペンス大賞で、良質のミステリー。
kaizen@名古屋de朝活読書会
やや暗い話題が多い。錠前破りという負の技術を伝承する祖父と孫。父親は犯罪で槍玉。寄宿先の親戚の大黒柱が交通事故死の加害者。現代社会の悩みを描写している。いたるところで宮部みゆきらしい心温まる人達が登場するのが救い。著者の分身。主人公は宮部みゆきの理想の男性かも。理想高過。
2013/06/17
yoshida
再読です。無事故のタクシー運転手だった主人公の伯父が、深夜に交通事故に遭う。突然の若い女性の飛び出し。何かから逃げるように飛び出した女性は亡くなる。主人公は目撃者を探すうちに、若い女性達の連続する自死に行き当たる。彼女達に共通する、人の心を弄んだ罪。残る標的の女性を追う主人公は事件の闇と、生き別れた父の存在に気付く。宮部みゆきさんならではの人の悪意の描写。人の心を弄ぶことに麻痺する心理が、丹念に描かれる。そして隠されていたもう一つの事件。揺れる主人公の心。見事な伏線の回収。時は過ぎても色褪せない作品。
2018/07/01
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