レベル7(セブン) (新潮文庫)
レベル7(セブン) (新潮文庫) / 感想・レビュー
Tetchy
物語は並行して語られる2つの話が漸近していくに従い、ある巨悪の存在も浮かんでくる。この構成は非常に巧みだが、やはり「レベル7」という魅力的なキーワードに対する期待値が大きかったせいか、最終的に小さく纏まったなというのが正直な感想。最初の謎の魅力が大きすぎて、色んなことが解っていくごとにそれが徐々にしぼんでいくというような錯覚に陥る。とはいえ、読後15年以上は経つのに、未だに最後の一行は覚えているのだから、案外鮮明に印象に残った本なのだろう。
2009/09/15
HIRO1970
⭐️⭐️⭐️宮部さんの初期の長編。題名から勝手に原発関連作品かと思っていましたが、25年程前の作品で違うモチーフでしたがまあまあ楽しめました。流石に最近の作品のテンポと比べるとかなりゆったりしていますが、逆に奇をてらわないオーソドックスな流れをジックリと堪能出来ました。はじまりの感じがチョットバイオハザード的で一気に物語に惹き込まれました。
2015/06/30
遥かなる想い
宮部みゆきらしい作品。「レベル7まで行ったら戻れない」という失踪した女子高校生の謎の言葉…この設定からして、思わずはまっていく。記憶・錯綜する物語…飽きることがなく 読み進める。
kaizen@名古屋de朝活読書会
推理小説としての複雑さは満点。登場人物の性格付けも十分。宮部みゆき度が不足しているかもしれない。下町の現実感のある風景があると嬉しい。宮部みゆきのまわりの仕事の描写があると、実際にその場にいるような気になるかもしれない。なぜこの話を書いたのかの必然性が理解できなかった。解説は香山二三郎。解説で、天藤真「遠きに目ありて」のあとがきに仁木悦子を「最も尊敬する推理作家」。岡島「クラインの壺」。世話物派。小説新潮1993年7月号の著者の面談。天藤の「大誘拐」の映画化などなど材料としては貴重な情報がたくさん。
2013/05/26
yoshida
20年振り位の再読。記憶を失い目覚めた男女。失踪した女子高生の残した謎の言葉「レベル7まで行けば戻れない」。少しずつ見つかる事件の糸口。そして2つの事件は交錯し巨悪の存在が浮かび上がる。この作品では心理戦が実にスリリング。とある人物が果たして敵なのか味方なのか。頭をよぎる裏切りの疑心暗鬼。巧みなストーリーテリングで長編であるが実に読ませる。事件の黒幕の身勝手さ。そして黒幕の「事業家」と「成金」の違いを語る言葉に唸る。後半の二転三転する展開。心暖まるラスト。人の持つ心の闇と光。宮部みゆきさんの真骨頂と思う。
2018/10/06
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