ソロモンの偽証: 第Ⅲ部 法廷 下巻 (新潮文庫)
ソロモンの偽証: 第Ⅲ部 法廷 下巻 (新潮文庫) / 感想・レビュー
starbro
本編は2年前に完読したので、今回は、書き下ろしの「負の方程式」と解説を読みました。文庫化のオマケ企画のせいかページ数の制約のせいか解りませんが、消化不良の感がいなめません。「ソロモンの偽証」は宮部みゆきの最高傑作だと思っているので比較してはダメなのかな?
2014/12/08
パトラッシュ
(承前)学校内裁判が終わり、やるせない真実が明るみに出る。生徒も教師も周辺の関係者も自分の狭い世界に閉じこもり、相談や発散をせずできず怒りやストレスをため込み続けたのが原因だった。誰もがプライドが傷つくのを恐れたため、死を選んだり他人を傷つけたり嘘をつくのが正しいか否かも判断できなくなり、ひとつの暴走がさらに別の暴走を呼んでしまった。今回は過剰報道だけが問題とされたが、SNSの発達した現代なら生配信されて騒ぎが拡大したはずだ。脆く傷つきやすい人の心の壊れ方と回復の追求こそ、長い物語のテーマだったと感じた。
2022/05/10
まりも
柏木卓也の死の真相を巡る物語完結編。裁判に現れた最後の証人の発言により、裁判の風景が根底から覆されてい話。凄い。この作品を言い表すのならこの一言に尽きる。真相自体は割と予想通りでしたが、そこに至るまでの過程は臨場感と熱量に溢れ、心の奥深くまで抉らるかのような鋭利さも持っており、読み応え充分。読後はこの物語を読んでいく中で覚えた複雑な思い、感動それら全てが残っており、心地よい疲労と充足感で胸が一杯になりました。藤野のその後が描かれた中編は、事件の真相よりも結婚相手の方で驚いた。是非読んでほしいシリーズです。
2016/03/21
yoshida
全6巻読了。想像よりもさくさくと読めました。圧倒的な構成、見事な伏線の回収にさすが宮部みゆき氏だなと納得の内容でした。最後の証人は真実を知っていた。そして三宅樹理の叫び。偽証が暴かれる。結局、最後に藤野さんが勝つという神原和彦の言葉の意味が分かる。この作品は藤野凉子の正義感が大きなテーマだと思う。中学3年生が真実を求めてこつこつと正面から立ち向かう。正面から戦う。周囲のさまざまなタイプの同級生が互いに手を取り、成長が見られた濃密な夏休みであった。その藤野凉子の正義感が文庫書き下ろしに繋がると感じた。力作。
2015/04/29
そる
ついに完結!登場人物達の緊張が伝わって、6巻はずっと緊張しっぱなしで読んだ。きっと柏木君は神原君に共感してもらいたかったんだ。離れていきそうになったから余計に関わりすぎてしまったんだ。私はこのやりとり、身に覚えがあるから分かる。きっと寂しかったんだ。あと、樹里にはもう少し自分のやった事を振り返ってもらいたかった。全体、とても輝いたいい話だった!「「そしたら養母が、こう言いました。わからない、わからないけど、おまえがここにいてくれてよかった。」(中略)「でも─結局、その言葉が充分な答えなんじゃないかって」」
2019/05/09
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