悲嘆の門(中) (新潮文庫)
悲嘆の門(中) (新潮文庫) / 感想・レビュー
パトラッシュ
(承前)有翼の怪物ガラの出現は、現実世界での連続失踪・殺人事件を関わる面々に大きな影響を与える。バイト先の社長を殺された孝太郎はガラの助けで犯人を探し抹殺するが、異形の力を正義と信じる姿は『デスノート』のライトのようだ。そこで強調される「物語と言葉の力」とは自分は小さくつまらぬ存在ではなく、世界を支配できる巨大なドラマの主役だとの信念(妄想)だろう。力に酔う学生の孝太郎と異なり、元刑事の都築は老病に苦しみながら自らの足で立とうともがく。この複眼というべき2人が「言葉の怪物」の悪意に戦いを挑むのだ。(続く)
2021/11/04
bunmei
上巻では、サイコパス殺人事件をめぐる推理小説かと思って読み進めてました。ところが、中巻に入った途端、未知との遭遇で「アレ❓オイオイ⁉️」って感じ。今回は、そういうファンタジー要素を予想して手にとってなかった分、チョット期待とは違ってた。東野圭吾さんならきっと動くガーゴイルの謎と指ビル、失踪事件を絡めて湯川先生が解決するのかもしれないけど(笑)虚構と現実が入り混じるのが宮部みゆきさんなのかな…と1人で納得してます。でも、決して、面白くないわけではなく、下巻への期待をちゃんと繋げて、中巻を読み終えました。
2018/01/10
KAZOO
ここでは、怪物が持つその能力を与えてもらい、連続殺人事件屋いなくなった友人を見つけようと努力する若い主人公と引退した刑事が中心となっています。アルバイトしていた会社の社長が何者かに殺害されます。ただその犯人と連続殺人犯は異なります。元刑事と一緒に捜査しようとします。与えられた能力は言葉やその人物が持っていた悪意などが見えるような感じで気味が悪い感じを与えます。宮部さんお得意の状況設定になっている気がしました。
2024/10/31
カブ
物語はファンタジーの様相を呈してきました。ファンタジー?嫌いじゃないよ。映像が目に浮かぶような、展開から最後が楽しみ。
2017/12/22
yoshida
三島と都築がお茶筒ビルで出会った異形の存在。手を引く筈が三島は異形の謎を探し始める。警告を与える為に現れた少女森崎。しかし三島が思慕する女性が無惨に殺害され、三島は異形の存在と取引をする。その後、三島がとった行動は私的な制裁である。このままでは三島も暴走し破綻を見ると思う。森崎の存在から前作があると知る。都築と森崎は三島を止められるか。そして異形の存在が力を溜めて向かう「悲嘆の門」とは。ファンタジー色が強くなるが、根底に流れるのは人間の様々な感情や業である。止めどない渇望と嫉妬、怒り。実に読ませる作品。
2021/01/11
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