煉獄の使徒〈上〉 (新潮文庫)
煉獄の使徒〈上〉 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
上巻だけで800ページ超。馳星周氏畢生の大作である。内容は、もう全くオウム真理教事件を真っ向から扱ったもの。どこまでが事実で、どこまでがフィクションなのかはわからない。特に公安の役割の部分がそうである。あるいは、作家にとってはそれこそを最も描きたかったのかも知れないのだが。カリスマ的な教祖と、教団を組織してゆくブレイン。ここでも、その構図は全く同様である。もっとも、物語中ではすでに齟齬が生じているのだが。下巻もまた800ページ超え。結末へと加速度を増してゆくのだろうか。大いなる期待を持って。
2018/11/03
巨峰
この時点が1990年。地下鉄サリン事件までまだ5年もある。オウム真理教は、はじめから狂っていたんだな!!
2021/08/28
Tetchy
上下巻合わせて1,600ページに亘って繰り広げられるあのテロの物語。重厚長大な馳作品でも最高の長さを誇る物語は新興宗教<真言の法>の栄華と狂乱を描く。教団の№2の男が狂える教祖によって人生を狂わされる一部始終を、一介の、ただし凄腕の公安警察官が<真言の法>を利用して警察権力の中枢へ迫っていく道のりを、そして高校卒業後すぐに<真言の法>に入信した若者が狂信者へ染まっていく、この3つの軸で進んでいく。同時代を生きてきた私にとって、オウム真理教に纏わる事件の数々がフラッシュバックして脳裏に甦って仕方がなかった。
2013/12/16
外枠発走
どこかで聞いたことのある話。世間を震撼させた某教団。これに、警察、政界という二つの大きな権力を加え、腐敗したトライアングルを組み、物語は進行する。クオリティは高いが、荒唐無稽さは拭えない。ある意味、禁忌的な事件を題材に用いたことに賛否両論あったのでは。このような権力構造が、時系列は違えども常に存在していたのは事実であり、全て人間が作りだしたもの。
2012/01/03
ぱどり
再読。オウム真理教がモデルの「真言の法」を舞台に繰り広げられる謀略と狂気のはなし。怖ーい!新堂冬樹の『カリスマ』も同じ団体がモデルだけど、あっちにあるコミカルな面が全くない。重苦しくて大好き。
2017/05/31
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