謎のギャラリー名作博本館 (新潮文庫 き 17-3)
謎のギャラリー名作博本館 (新潮文庫 き 17-3) / 感想・レビュー
Tetchy
まず驚かされるのは筆者の驚くべき読書量。古典から現代、そして国内のみならず中国までも包含したミステリだけでなく純文学や大衆小説まで精通している。従って本書で語られる作品は多種多様。『円紫師匠と私』シリーズの主人公は呼吸するように本を読むほどの本好きとして描かれているが、それはまさにこの北村氏本人に他ならない。読書が誘う奇妙な偶然、訳者の違いによる小説の味わい、本書が契機で復刻された作品があることが解ったり、実に面白く、奥深い。ああ、1日が30時間あればいいのに。このようなエッセイを読むと、いつもそう思う。
2019/01/22
Aminadab
未読かと思って取り寄せて読んだら7年前にちゃんと感想を上げていた。ミステリ作家で無類の読書家北村薫による短編小説の楽しみ方指南。リドルストーリー、中国裁判物語と江戸期の改作、ホラー、ゲーム、恋愛、日常の謎の6章から成る。言及されたうち入手困難な作を中心に「謎の部屋」「こわい部屋」「愛の部屋」の3つのアンソロジーが刊行されている。今回の収穫は入手容易として収録外の久生十蘭「奥の海」(213頁)。もしや未読かと思ってキンドルの『作品集』を見たらぜんぜん既読で、しかし再読でも少しも色あせない大傑作。耄碌御免。
2022/08/21
Shoko
「謎の部屋」を読んで、これも短編集なのかと思っていたけれど違った。古今東西の素晴らしい小説を北村薫と編集者が、美術館に並べるように最高の配置でご紹介。謎のギャラリーへの導入になっていたんですね。これは目に毒な読書になってしまった。読みたい本がどんどん増える。しかも入手しにくそうな本が多い(泣)。とりあえず、「こわい部屋」「愛の部屋」を入手したいな。
2019/01/26
モリータ
この読書レベルにはとてもついていけないので「読みたい本」が増えたわけではないのだが、ありがたいことにアンソロジーを同時に作ってくれているので、無駄ではなかったと思う。
2016/07/14
駄々猫
北村氏の読書量と範囲の広さに驚かされる。編集者さんとの「やりとり」も楽しく、読みたくなってしまう作品がたくさん紹介されていて、嬉しいような困るような。この本館があって、このシリーズがはじまったのですね。借り本だったけど、購入しておかねば。
2009/04/19
感想・レビューをもっと見る