1950年のバックトス (新潮文庫)
1950年のバックトス (新潮文庫) / 感想・レビュー
nico🐬波待ち中
23話からなる短編集。さきちゃんの続きの話『ほたてステーキと鰻』目当てに読む。『ひとがた流し』から一年後、大切な友のことを色々思い出ししみじみ浸る牧子さん。大学生になったさきちゃんも忙しいみたいでなかなか逢えないし。牧子さんの寂しさが身に染みる。私もいずれ娘達が巣立ち、ため息ばかりの味気ない日々がくるのだろうな…。「年をとるというのは、他人のこと。自分は結局、幾つになっても年を越えた《自分》なのだ」牧子さんと同じく50歳という数字が間近に見えてきた私。牧子さんのように達観できるといいのだけれど。
2018/09/07
yanae
月の砂漠→ひとがた流し→こちらの本へ。お気に入りさんから、その後が読めると教えてもらい手に取りました。23話の短編集。牧子さんの話は一番最後に。他のお話は背筋がぞわっとする話が多く、短いのにどんでん返しがあったりで、北村さんのうまさが!表題作もとてもよかった。でもなんといっても牧子さん。友人を亡くして、娘も寮に入ってしまい、ふさぎこみ気味の牧子さん。過去の友人との思い出に浸ったり、そんな自分と向き合い空虚感をなんとか乗りきろうとしてみたり。美々ちゃんもでてきてひとがた流しの世界を堪能できました!
2017/12/04
ぶち
『月の砂漠をさばさばと』『ひとがた流し』のその後を描いた短編 "ほたてステーキと鰻"があるとのことで、手に取りました。背筋が寒くなるホラー調なお話し、ノスタルジックな気持ちになるお話し、親子や家族の絆を綴ったお話し、家族の成長に伴って子離れしていく切ないお話し、落語調なお話し....相変らず言葉遊びが多いのですが、それでいてどのお話も、しみじみと心に沁みてきます。都筑道夫、宮部みゆき、秋月りすといった作家名が出てくる"真夜中のダッフルコート"は、ウン、ウン、上手く作風を捉えているなぁ、と楽しい読書でした。
2020/02/07
めろんラブ
玉石混交だって仕方ないさ。23話もあるのだから・・・。なんて意地悪な予想は大はずれ。どれもこれもキラキラ&ぞくりの短篇集。短いものは、なんと3ページという離れ技。改めて北村さんの手腕に惚れ直した。あの母娘に会いたくて手に取ったのだが(「ほたてステーキと鰻」)、思わぬ拾い物、もといお宝が次から次へと続き、熱に浮かされたように物語世界に没入。また、巻末の桜庭一樹さん寄稿「2007年の巴投げ」に溢れる北村ラブが微笑ましい。いくばくかのDNAを受け継いでいるやも。作家は先達の作家で出来ている、なんてねw
2013/05/24
文庫フリーク@灯れ松明の火
やはり北村薫さんの文はきれい。たおやかな描写でありながら、はっとする表現。表題作『1950年のバックトス』鮮やかなファインプレー見せられた気分。宮部みゆきさんとの掛け合い『真夜中のダッフルコート』秋月りすさんファンだとは。『OL進化論』知ってて良かった。上記以外では『昔町』『凱旋』『眼』『雪が降って来ました』『百合子姫・怪奇毒吐き女』に惹かれました。そしてご褒美のような牧子さん『ほたてステーキと鰻』さきちゃんの「だって、お母さんの子だから」成長したのですね。短編23話・最後まで美味しい1冊でした。
2011/01/19
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