飲めば都 (新潮文庫)
飲めば都 (新潮文庫) / 感想・レビュー
佐々陽太朗(K.Tsubota)
意外な真実にビックリするようなミステリではない。ハラハラ、ドキドキのサスペンスでもない。涙を誘う悲話でもない。胸を熱くする感動の話でもない。でも、主人公・小酒井都はとても素敵な女性です。こんな子が側にいれば間違いなくプロポーズしますね。この小説を読むと、職場っていいなぁと思います。会社に行って、仲間と一緒に仕事をしようと言う気になります。そして夜には職場場の仲間と居酒屋に行きたくなります。心を前向きにさせるお仕事小説でした。酒飲みなら誰もがこの小説の良さが判るはず。
2013/12/10
ユメ
「さて、都さんのことを話そう。出版社に勤めている。(中略)自分という車のハンドルをきちんと握っている人物に、まあ見える。この《まあ》が、大抵の場合、忍び寄る恋のごとく曲者だ」一頁目から惹きつけられた。文章のリズムとユーモアがツボに合い、酔っ払いがもう一杯!と言う調子で頁を繰る。そう、ここから始まるのは主人公の編集者生活、ではなく、飲兵衛の楽しい飲酒ライフなのだ。《まあ》と言われてしまう所以の、飲みすぎた彼女が巻き起こす珍騒動が愉快痛快。タイトルに偽りなしの物語なので、自分が下戸であることが口惜しくなる。
2014/11/02
kishikan
本屋さんで見つけた北村薫さんの「飲めば都」。おおっ、タイトルに魅せられてしまう。きっと京都か何処の都市の飲み屋さんを舞台にしたお話かと思ったら、「飲んべえの都(女史)さん」のお話だったのですね。あっはっは。さてこの都さん、出版社にお勤めながら職場で、また作家さんとのお付き合いでと、飲む機会が多い。そうした中で、飲兵衛なら誰もが一度は経験する失敗談あり、感動場面あり。そんなこんなで、いろんな人達との関わりの中で成長していく都さんを北村さんらしい語り口と独特のユーモアで展開する。おお、これぞ酒飲みの人生!
2015/03/25
もりしー
ミステリ以外の小説やエッセイが増えだしたころからなんとなく敬遠していた北村作品。あらすじに魅かれ久々に読んでみましたが、やっぱり文章表現が素敵ですね。前半はただの呑ん兵衛女子の失敗談が延々続くものかと思い、ちょっと退屈でしたが、中盤オコジョさんが登場してからは二人の恋の展開が楽しくて、一気に読み終えました。最近再び日常の謎のミステリを書かれているようなので、これから未読の作品も読んでみようと思います。
2017/05/05
かしこ
大の北村薫ファンである。その理由は女性(主に私の?って思っちゃうくらい)の気持ちをよくわかっているから。本書の主人公都さんと同様に大の酒好きのわたし。とあれば、同様にお酒の失敗も数しれず・・・?主人公に共感するしかない。追い討ちをかけるように(使い方違いますが・・・(笑))楽しい飲み仲間に職場の人々といった魅力溢れる登場人物が出てくることも北村薫が私を離してはくれない。特に女性の心の揺れ動きには敏感。どーしてこんなにわかるのよっ!と怒りたくなるくらい。とにかくわたしお酒と本と北村作品が大好きです。
2016/09/05
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