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ヴェネツィア便り (新潮文庫)

ヴェネツィア便り (新潮文庫)

ヴェネツィア便り (新潮文庫)

作家
北村薫
出版社
新潮社
発売日
2020-10-28
ISBN
9784101373355
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ヴェネツィア便り (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ばう

★★★ タイトルから旅の思い出を綴った本かと思いきや心温まるお話、心にチクッと針が刺さったように感じる話、ゾッとする話、一見穏やかな話なのに最後まで読むと心がゾワッとする話など、趣の違う話が数話ずつグループに分けて収められた短編集。何だか禍々しい気持ちのままこの本を読み終えるのか?と思っていたら最後のタイトルにもなっている『ヴェネツィア便り』で浄化された気分になりホッと一安心。万華鏡みたいな短編集でした。荻野アンナさんの解説も良かったです。

2021/12/08

mayu

「時と人」を描く短編集。ホラーあり、ファンタジーありバラエティー豊か。表題作が好み。二十代の私から三十年後の私への手紙。ヴェネチアの風景とともに、未来への憧れと失うかもしれないものへの不安を閉じ込める。ヴェネチアは私も行ってみたい街のひとつ。美しい街を旅しつつ、時間旅行をもする気分を味わえた。同じ街を訪れ、時を越えた感情のやりとりをする私と私。私も数十年後の私へ手紙をしたためてみようか。「道」の夫婦。不器用でも、最後の二行のような関係を築いていけたらと思う。「白い本」の切ない願いも、短いながら印象に残る。

2023/03/04

penguin-blue

「時と人」をテーマとした短編集。テーマ以外は背景も、登場人物も、作品の趣も異なるのだが、景色が少しずつ変わっても同じ川の流れを歩いている感じ。著者の外の作品にも共通するがほとんどの登場人物が常に文字や書物に近いところにいる。ちょっとホラーがかった『世にも奇妙な物語』風味の「開く」「岡本さん」の二編、北村さん的王道の「機知の戦い」、片思いの切なさがにじむ超短編「白い本」あたりが好き。北村さんがもう70歳を超えられていることに今さら何だかびっくりする。

2022/04/25

きなこ

北村薫さんらしい、という程読んでいるわけではありませんが、ホラーあり、不思議なお話あり、円紫さんシリーズのような知性溢れる日常の謎的なものあり、バラエティに富んでいて北村作品を堪能しました。1番印象的なのは30年の時を越える便りを描く表題作。文章が心地よく、温かく包まれているような気持ち良さ。「白い本」ではたった2ページの掌編とは思えないほど様々な想いが詰まっていました。「道」の連作のご夫婦も好き。荻野アンナさんの解説も楽しかったな。私も「心の薬局 北村堂」のパーティーチケットいただきました♡

2021/04/18

エドワード

思いがけず定年前後の男性の話を読んでしまった。北村薫さんは私のほぼ一回り上だが、感覚が非常に近い。他人事とは思えない。四十年前を昨日のことのように思っている。言葉にこだわる。神保町が好き、即ち本マニア。映画と音楽も好き。淀川長治、蜘蛛の糸、ベニスに死す。渋い作品がたまらない。小学六年生の時の、同級生の女子の思い出―「高み」の最後のつぶやきがほろ苦い。標題作は三十年後の自分へ出す手紙。私がベニスを訪れたのもほぼ四十年前。ベニスが今も沈まずにあることの幸福。いや~はみだしYouとPiaにはど肝を抜かれたね。

2022/10/08

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