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ニッポニアニッポン (新潮文庫 あ 41-4)

ニッポニアニッポン (新潮文庫 あ 41-4)

ニッポニアニッポン (新潮文庫 あ 41-4)

作家
阿部和重
出版社
新潮社
発売日
2004-07-01
ISBN
9784101377247
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ニッポニアニッポン (新潮文庫 あ 41-4) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

2001年上半期の芥川賞候補作(受賞作は玄侑宗久「中陰の花」)。18歳の孤独なテロリストの物語。ただし、彼の最終目的は「ニッポニアニッポン問題の最終解決」にあった。そもそも彼がトキにターゲットを絞ったのも自分の名字が鴇谷(鴇はトキ)であったことから妄想を膨らませていった結果である。根底にあったのは「人生に大逆転を起こす」という、いたって常套的な発想である。着想は新奇だが、物語のコーダまでを支えるにはいたらない。したがっていざ実行に移ってからは物語に精彩を欠くことになってしまった感は否めない。

2017/08/09

yoshida

妄想からの暴走と破滅。阿部和重さんの作品でよく描かれる姿。恋慕するかつての同級生へのストーカー行為により地元に居られなくなった鴇谷春生。高校中退し東京で知人の菓子店に勤務するもすぐに欠勤し退職。大検を受けるとし、自身の名字にある鴇にのめり込む。人間の都合で絶滅危惧種となった鴇を繁殖させる国の事業に憤慨し、鴇殺害計画を立て実行する。表紙がクイーンのアルバム「オペラ座の夜」がモチーフ。最後の車中で流れるボヘミアンラプソディに回収を見る。ひとり部屋で練る狂気と発露。阿部和重さんの作品でも読み易い。私は好みです。

2021/01/24

優希

一途な青年の狂気といったところでしょうか。鴇谷春生という名前から「トキ」に異常なシンパシーを感じることで膨らむ妄想が凄いなと思います。国の天然記念物であるトキを殺しに行くことは、日本国家の矛盾をもあぶり出すことに繋がることだったのでしょう。ある物を象徴化し、破壊する行為は三島由紀夫の『金閣寺』を連想させます。エキセントリックで理論的な文章に独特の雰囲気を感じました。

2016/11/03

はらぺこ

自分は鳥を食べるのは好きやけど生き物としての鳥は怖いから正直どうでもええ話やった。大きい鳥やカラフルな鳥は嫌い。鳩も嫌い。猛禽類は見るだけなら大丈夫。なので、トキが繁殖し過ぎて電線や公園や神社にウジャウジャしだしたら絶対に外出しません。 解説に書かれてる通り、自分も天皇制が裏テーマかなと思いました。皇室のみ側室制を続けてれば良かったのに。 主人公はアホです。でも、少し違ってれば愛すべきアホやったのに・・・。森見作品なら愛すべきアホな主人公に仕上がってた気がします。それぐらい紙一重やと思う。

2011/04/05

Y2K☮

2011年。格闘技的な強さを打ち出すだけの堅苦しいプロレスをしていた中邑真輔は、メキシコで「普段の自分が好きなもの」を試合に落とし込む作業を始めた。マイケル・ジャクソン、ブレイクダンス、脱力。好みの動きに乗せ、溢れる感情をカッコつけずに生のまま吐き出した。今作も同じ匂い。初期の大江健三郎的な未熟な反逆、カードキャプターさくら、ボヘミアンラプソディ。嗜好を曝け出す。現実と虚構の限界ライン。曖昧であればあるほど引き込まれる。トキへの愛憎相半ばはこの国とあの方への想い。小説界のキング・オブ・ストロングスタイル。

2017/11/29

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