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あつあつを召し上がれ (新潮文庫)

あつあつを召し上がれ (新潮文庫)

あつあつを召し上がれ (新潮文庫)

作家
小川糸
出版社
新潮社
発売日
2014-04-28
ISBN
9784101383415
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あつあつを召し上がれ (新潮文庫) / 感想・レビュー

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zero1

食は思い出と共に。「食堂かたつむり」の作者が7つの短編で描く。家族を忘れた祖母とかき氷。恋人と食べるシュウマイなど中華は実に美味しそう。「さよなら松茸」では恋人の別れも。父と娘の「こーちゃんのおみそ汁」、記憶があやふやな老婆がパーラーで思い出の料理を食べる「いとしのハートコロリット」。変化球として「ポルクの晩餐」は死ぬために豚とパリに行く男。「季節はずれのきりたんぽ」は父の49日に父が大好きだった鍋を作るが…もし重松清ならどういった表現をするか。短い中に人と記憶の世界を描けるのは流石に支持されている作家。

2019/10/04

さてさて

『美味しい物を食べている時が、一番幸せなのだ。嫌なこととか、苦しいこととか、その時だけは全部忘れることができる』。食事の場面では、どんな時でも幸せを感じる瞬間があったはずです。美味しい、満たされる、と思った瞬間。全てを忘れて食の喜びに浸る瞬間。そんな食事風景を文字で刻んだこの作品。レンゲですくって舌の上にスープを流し込んだ恋人の『ふぅ、幸せ』という一言が象徴する幸せな食卓。小川さんの食の表現の素晴らしさと、食に込められた想いを強く感じた、至福の時間でした。 美味しくいただきました。ごちそうさまでした!

2020/10/05

Atsushi

「食」と「別れ」にまつわる七話からなる短編集。「こーちゃんのおみそ汁」が一番良かった。幼い頃母を亡くした「呼春」(こはる)。彼女が結婚式の朝に母から伝授されたおみそ汁を作り、父と交わす会話が何とも切なかった。自分にも娘がいる。こんな日が来ることが楽しみやら寂しいやら複雑な心境になった。すべてのお料理に「ごちそうさまでした」。

2017/06/23

食べ物にまつわる短編集。優しい気持ちになれる作品が多かったです。家族の死がテーマの話は悲しい。私が主人公ならこんなに冷静でいられないだろうなと思いました。居て当たり前の存在についついなってしまっていますが、生きているうちに家族には沢山の感謝を伝えたくなりました。意外と一番好きなのは『いとしのハートコロリット』かな。おばあちゃんが上品に食べている姿が思い浮かび、ハートコロリットが美味しそうでした。認知症のおばあちゃんってこんな気持ちでいるのかなって思いました。

2022/06/10

しんごろ

七編からなる短編集。短編というよりは、ショートショートに近いかな。前半は、ほのぼのしてだけど、後半に進むにつれて、まあなんとも言えない短編ばかり。モヤモヤとまではいかないけど、ちょっと後味が悪い感じというかな。世の中、そんなにうまくいかないよと教えられた気分。でも、料理の描写は素敵で美しく、ヨダレが垂れそうに…(笑)。暑い寒い問わず、あつあつな物を食べたくなるのは間違いなしな作品でした。

2022/06/10

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