この世は二人組ではできあがらない (新潮文庫 や 69-2)
この世は二人組ではできあがらない (新潮文庫 や 69-2) / 感想・レビュー
乱読亭AKIRA@晴釣雨読🎣
読もうと思った決め手は『たまプラーザ』!大学時代にちょくちょく行っていた『たまプラーザ』が舞台になっていたので、懐かしいな〜と思いながら読み進めました。著者の作品は初読でしたが、とても読みやすく、でも軽過ぎずで、バランスが取れていて、とても気持ちよく読むことができました。あとがきで、西加奈子さんが良い言葉を見つけるたびに、そのページの耳を折りながら読んでいたら、折り目だらけになってしまったと語っているように(笑)、言葉のセンスの良い作家さんだな〜と思いました。絶対にまた『たまプラーザ』に行きます!
2016/11/21
kishikan
ナオコーラさんは3冊目になるけれど、いつも不思議な満足感?に浸ってしまう。なんて言ったら良いんだろう。すごーく感動したとか、心に響いたとか、切なくて泣きそうになったとか、のめりこむようなく本じゃないけど、じわっと心温まるというか、書かれた意味が静かに心に残るっていう感じかな。内容はタイトルにもあるように、彼氏だけではなく、様々な人(社会)につながろうとしている女性を描いた物語。僕としては西加奈子さんの解説にもあるけど、ストーリより思わずページをめくるのを止めて、数々の素敵な言葉使いをじっくりと味わい満足。
2013/04/12
巨峰
稀有の小説。解説の西加奈子さんの言葉をいただいた。この小説は、快調な会話を含め、ナオコーラ以外の誰にも似ていないリズムで進む。そして、その主人公もやはりナオコーラ以外の誰が描きえたであろうか。とても男前な小説で、だけど、その男前という言葉自体がもう過去の遺物に過ぎないと感じるであろう78年生まれの男女の二人組の物語。日本の社会を的確な表現で掴みながらも、若い男女の同棲小説であることを止めない。女の子はさっぱりとしているけど傷つきやすくて、男の子はたおやかで優しくて一見頼りないけど仕事ができる。(続あり)
2012/12/07
venturingbeyond
2000年代前半を舞台に、著者と思しき主人公の大学卒業前後から数年の日常が描かれる。舞台となった渋谷は、90年代前半の学部〜大学院時代に慣れ親しんだ街であり、作中に登場するミュージシャンや美術館・映画館など、一世代上の自分としても時代の空気が共有できており、懐かしさと共にページをめくる。解説で、西加奈子が述べている通り、主人公(作者)の他者や社会との距離感が、作品のここそこに軽快な文体で書き連ねられており、さらりと読み終えました。
2023/09/18
大門寺豪徳
最初は何だかフワフワした印象を受けたが最後は気持ちの良い、清々しい、自分が囚われている色々なものから解放してもらえたような自由を味わえた。しっかりした作品だと思う。世間、ライフスタイル、価値観等について、ハッ!とさせられる科白が随所にある。主人公が社会や常識に疑問を持ちながらも、上手く溶け込もう、生活していこうという姿に、若さや素直な心を感じる。「一人一人が世の中を、社会をつくっているんだ」自分をしっかり持って生きていこうという著者の強いメッセージが伝わってくる気がする。著者の様な女性がいて気持ちが良い。
2015/12/21
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