すべてはあの謎にむかって (新潮文庫)
すべてはあの謎にむかって (新潮文庫) / 感想・レビュー
utinopoti27
作家さんのエッセイを読むのは楽しい。日常の何げないひとコマの描写に、書き手の感性とプロの技がストレートに見えてくるからだ。言い換えれば、普通のことをどのように作家らしく表現するのか、腕の見せどころとも言える。本書収録のエッセイは、一見ゆるキャラ風の脱力系と思わせておいて、ふいに目線鋭く切り込んでくるから油断ができない。川上氏といえば、あの独特な、苦行僧を彷彿とさせる作品群を生み出す無双の才能と、文壇一の美貌が魅力の作家さん。『まあゴチャゴチャ言わんと笑って読み飛ばしてや~』彼女の声が聞こえた気がする。
2021/01/19
まる
エッセイ集。最初の「地震のあとで」は 内容が内容なだけに地味な感じだったけれど あとは川上未映子節炸裂。彼女の視点と文体が面白い。1つのストーリーが短いので サクサクと読めてしまう。どれも面白かったので これ!というオススメがないんだけど これ1冊読めば何だか川上未映子に洗脳されて 考え方も文体も移ってしまうみたい。いや ただ私が感化されやすいだけかも。。。
2017/05/14
hiro
未映子さんの最近のエッセイ集といえば、出産・育児とおしゃれのエッセイ集だったので、いきなり文庫本でエッセイ集でるということで、早速読んでみたが、既刊の単行本『ぜんぶの後に残るもの』と『人生が用意するもの』を合本化し、再編集したものだったで正直がっかりした。その内容については、未映子さんは震災に関するエッセイを多く書いていたことはよく覚えていたが、改めてこの本を読んでみて、詳しく内容を覚えていたのは、週刊新潮編集部に毎日電話をかけてくる人がいるという「春の困った人たち」だけだったという驚愕の事実だった(笑)
2017/05/05
めしいらず
オモロうて、やがてロマンティックなミエコMy Love嬢の悩殺的文体にいちいち心を惑乱されて悶絶するのはまあ毎度の事なのだけれど、今回は畳の上で泡吹いてひっくり返っていたところを発見され、キュン死寸前で病院に救急搬送されたのだとか。気付けばベットの上という体たらく。いやマジで。まるで命がけの読書であるね。命あっての物種であるからね。男子諸君の無事の帰還を心より祈るばかりであるよ。なむなむ。ミエコ嬢への愛は読むたびに深まりゆくばかりであるのだよなぁと心に確と刻まれた令和最初の秋なのであった。朝晩さぶいね。
2019/10/15
ぶんこ
10年くらい前のエッセイ。大震災の話から始まっていて感慨深い。著者の小説や対談が好きで、自分なりの川上未映子像があっただけに、こちらのエッセイを読んで、意外と男前?結構赤裸々な表現も多くて驚きました。この本は他区からお借りしたのですが、我が区の図書館が、汚れやよれの状態を詳細に報告するメモが挟まれていたのにびっくり。
2021/11/28
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