黙示 (新潮文庫)
黙示 (新潮文庫) / 感想・レビュー
あすなろ
農業について考えたことありますか?食糧供給については考えたことが若干ある。では、砂漠の中でトウモロコシの実が付いている写真を見てどう思いますか?我が国の休耕田作った米を中国が全量買い取ることを契約したとしたらどう思いますか?農薬からスタートしたストーリーは、最終的に農業と食の将来像問題へと展開する。知らぬこと多く、勉強になる一冊だった。知らぬは我が国の人々だけ…。
2017/02/11
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
農薬散布の事故により我が子が被害にあった。しかも自分の手で開発した農薬によって。農薬=悪の単純な図式で捉えていないところが好ましい。もちろん過剰な使用は良くないが、農薬の使用により農業生産性が上がり、飢えた多くの人々の食料供給に貢献したことは事実である。農薬、遺伝子組換え作物、遺伝子情報の知財問題など考えるべき事は多い。将来必ず起こるであろう食料争奪戦。エンタメとして楽しみながら、これからの食料問題について考えさせられる骨太な作品。残念なのは、終盤広げた風呂敷を一気に畳んだような印象を受けたこと。★★★★
2015/08/16
小説を最初に書いた人にありがとう
真山作品を読む度に、綿密な取材の上に書かれた事が伝わる。だからこそのリアリティと迫力があるのだろう。今作は農業をテーマに農薬問題を発端に世界的な食料危機まで広げていく。登場人物が養蜂家、農薬メーカー開発者、そして官僚が絡み合いながら、それぞれのプライドがぶつかる真山作品の真骨頂。 勉強になったし、自分の仕事に誇りを持つことの大事さを思い出させてくれた。真山仁は日本を愛して止まない憂国論者なんだろうな。
2015/08/30
アッシュ姉
真山さん15冊目。日本の農業のあり方、食のあり方から世界の食糧危機まで、あらためて考えるきっかけとなった一冊。農業をめぐる諸問題に対して、様々な立場の意見を盛り込んでおり、深い関心を持って読み進めることができた。中途半端な知識で判断するのではなく、先ずは正しく理解することが第一歩。徹底した取材力と先見の明のある真山さんが危惧する未来に認識をあらためた。いつも刺激を受ける真山作品をこれからも読み続けていきたい。
2018/01/15
にいにい
「プライド」という短編集を読んで、日本を巡る農業・農政の問題について、真山仁さんにもっと突っ込んで欲しいと思った。その望みが叶えられた。「プライド」でも活躍した米野達農林水産省官僚、農薬メーカー技術者、養蜂家が農薬、遺伝子組換えについて、本当の食糧問題について調べ、討論し、構想実現を図る。真山さんの取材力、構成力凄い。いろんな視点から、大いに考えさせられた一冊。タイトルもいい。まだまだ、きちんと答えのないこのテーマ、今後もシリーズ化して掘り下げて貰いたい。ちゃんと考えなくては。
2015/10/02
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