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所轄刑事・麻生龍太郎 (新潮文庫)

所轄刑事・麻生龍太郎 (新潮文庫)

所轄刑事・麻生龍太郎 (新潮文庫)

作家
柴田よしき
出版社
新潮社
発売日
2009-07-28
ISBN
9784101396255
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所轄刑事・麻生龍太郎 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ワレモコウ

RIKOシリーズでも登場する麻生龍太郎が、25歳の新人刑事の頃の話。5話の短編から成る。器物破損、自殺に見せかけた殺人、傷害事件。穏やかで地味ではあるが、些細な事件でも独特の視点から真相に迫っていく。その中でも、先輩及川刑事との関わり…ここが龍太郎の原点でもあったのか。情に厚いのに、自らを「人の心がわからない」と足掻く。これから起こる、龍太郎の衝撃的な人生の前に、わずかな波紋が広がっている一冊。

2020/09/25

くたくた

『RIKOシリーズ』『聖なる黒夜』の麻生龍太郎、駆け出しの所轄刑事時代の短編集。麻生の所属する高橋署、読み方は「たかばし」場所は江東区高橋で、現実世界では深川署。そして、思いのほかワンコ本だった。「早く行ってやらないとな。もし奴が本ボシなら、今ならまだ、刑事事件としては微罪だ。謝罪させてそれで被害者が納得すれば、送検しなくても済む。だがほおっておけばきっとエスカレートする。未来を棒に振る前に、止めてやろう」先輩の今津刑事の言葉が心底優しく聞こえる。後の山内練の事件の時の麻生の思いにも通底するものがある。

2022/05/14

アイゼナハ@灯れ松明の火

RIKOシリーズに登場する元刑事の私立探偵、麻生龍太郎が、まだ本庁へ異動する前の若き所轄刑事だった頃を描いた5つの連作短篇+エピローグ。『こんな小さな事件だって、かかわった人間はみんな、泣くんだ』のモノローグが印象的な『大根の花』が良かったです。簡単な結論に飛びつかず、腑に落ちないところには労を惜しまずこだわる所は、ちょっと加賀恭一郎に似てるかも・・・嘘を暴く訳ではないですが(^o^;残念ながら山内練は登場せず。代わりに(?)及川刑事という先輩が気になる存在として出てきます。『聖なる黒夜』で繋がるのかな?

2010/08/23

外枠発走

所轄で起こる様々な事件を解決する連作短編集。主人公麻生は、所轄での活躍が認められ、本庁に異動となる。シリーズのプロローグ的な作品。著者の作品を手に取ったのは久しぶりだが、相変わらず丁寧な書きぶりだった。本庁の刑事にはないであろう、主人公の繊細な一面が次作以降、どのように作用するのか気になるところ。今まで読んだ警察小説にはない、少し緊迫感のない世界観が印象的だった。「赤い鉛筆」が、主人公のらしさが最も出ていて面白かった。

2023/08/20

hrmt

まだ刑事になりたての若い頃、麻生さんは昔から麻生さんだったんだな〜と、読みながら思った。練とも妻となる女性ともまだ出逢わず、及川への感情も認めながら違和感を感じ、小さな事件も人の気持ちを汲んで丁寧に紐とき、気にかかること.納得できないことをそのままにしない。そんな麻生龍太郎だからこそ、及川が自分を愛すのと同じように思えないことに苦しむ。高殿さんの解説が、麻生龍太郎を鈍く光って動かない北極星に喩えたように、進むべきかとどまるべきか、そうは見えなくとも臆病に動けない彼の、この先を見ていきたくなる一冊。

2020/03/14

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