海は涸いていた (新潮文庫)
海は涸いていた (新潮文庫) / 感想・レビュー
kuma
5回目くらいの再読。読む度に白川氏の人生観を強く感じる。カネでなく恋愛でなく、自分だけが持つ大切なモノ、人にすべてを捧げる。他人から見てそれがガラクタでも。
2021/02/12
ヨーコ・オクダ
これまたカッコええわ。いつもは警察小説好きで、刑事さんに事件を解決してもらうのが楽しみなんやけど、コレに関しては「ちょっと…主人公のこと、そっとしといたってよー」なんて思たり。主人公がまっすぐ過ぎ。ホンマええ奴やのに…実の父親がアイツでなければ、後の不幸は何一つ起こらなかったやろうにー。人生のそれぞれの段階で縁ができた妹、友人たちを守るため、危ない道を選択する。主人公のことを息子のように思て見守ってきた男たちのアシストも最後はむなしく。あぁ、切ないわー。
2016/08/30
Tetchy
物語を彩るキャラクターのなんと濃密なことか。どこかで読んだような、借りてきたような人物ではなく、生活から人生の道程までしっかりと顔の皺まで浮かびそうなくらい書き込まれている。処女作でも感じたがやはりこの人は“世界を知る人”なのだろう。この人でないと書けない雰囲気が行間から立ち上ってくる。これは死に様を探し続けた者が生き方を見つけようとした者を救うための物語。つつましく生きたいのになぜか人生の節目で裏切られ、真っ当な人生を進むことを否定される人々を書く物語は志水辰夫の作風をどこか思わせた。
2011/10/19
ひまわり
伊勢の人生は…切なくて悲しい。
2014/01/05
はまちゃん
白川道氏のハードボイルド作品。養護施設で育ち、今では暴力団とのつながりのある伊勢商事で社長をやっている芳賀哲郎が、触れられたくない過去を暴かれそうになり、自分の大切な人たちを守るために大勝負に出る。芳賀の大切な人たちに対する優しさが心に沁みるだけに、ラストは切ない。登場人物のキャラがしっかりと立っていて、芳賀の生きる世界が生き生きと感じられるが、ハードボイルドでは人物描写が命なのかもしれないと感じた。
2016/10/13
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