風の墓碑銘(エピタフ)〈下〉―女刑事 音道貴子 (新潮文庫)
風の墓碑銘(エピタフ)〈下〉―女刑事 音道貴子 (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
貴子と滝沢のそれぞれ互いに不満を持ちながらも、ズレたコンビネーションが本書の一番の妙味か。噛み合わないにも関わらず、結果的には他の捜査チームを大きく引き離し、大きな手柄に結びついてしまうところも彼らを贔屓している(でしょう?)読者には痛快である。また、今回はお互いの長所を存分に発揮できたようでもある。すなわち、貴子の直感と執念、そして滝沢の刑事としての人脈と生来の天性とが。ただ、惜しむらくは警察小説として地道に捜査に当たってきたものが、最後に急転直下、一気に解決に向かってしまう点である。
2020/05/14
ehirano1
シリーズ独自の醍醐味を楽しみました。解説で述べられる「ヒロインが小説のなかにいるのではなく、むしろ読者ひとりひとりの暮らしのなかに息づいているような錯覚さえ抱かせる(p331)」は、”なぜ本シリーズにハマってしまうのか?”という問いの答えの1つであるように感じました。なるほどねぇ。 しかし、滝沢刑事が心配。今後は今までとは違った形で音道貴子と係り合うのでしょう。それはそれでいろいろと楽しみです。
2016/04/02
yoshida
下巻は一気読み。「凍える牙」に次ぐ名作だと思う。また、上巻で予測した哀しい結末が外れて良かった。現在と24年前の事件が繋がる。犯人のあまりの身勝手さや、重ねてきた経歴が顕わになる様子に息を飲んた。人間の悪意の描き方、明かされる過去に、宮部みゆきさんの「火車」を思い出した。犯人に辿り着いた先が描かれるのは異なるところ。事件が起きれば犯人は身近にいるもの。その異様な執着さは、周囲には違和感として残るだろう。妬みや身勝手さ。人間の悪意が実に丹念に描かれている。予想もつかない結末。最後に救いがあるのも良い。名作。
2021/06/09
タックン
下巻は事件解決編。読みやすいし面白いし先が知りたいので一気読み。白骨死体と老人殺人事件と24年前の父・娘の死の真相が暴き出される・・・・・。 途中で怪しいなって思った人がやっぱあ・・・・真相を知ると恐ろしい。 音無道子と滝沢だけでなく脇役の人もうま描かれてるなあ。奈苗の悪意や嫉妬は恐ろしいなあ。あっ、この題名の(風の墓碑銘)ってどこからつけたのかなあ? みなさん読んでくださいな。
2014/08/20
りゅう☆
白骨死体、老人殺害事件、父娘惨殺事件。音道の仮説が事件を動かす。偽刑事は一体誰?滝沢と調べるも悲しい人間関係を築いてしまうことに。裏切り。複雑。そして昂一からのメールに私まで打ちのめされてしまった。貴子は抱えてるものが多すぎ。いっぱいいっぱいなのに溢れさせることができない。本当は健気な部分あるのに誤解される。だけど分かってくれる人はいるから大丈夫。あの滝沢だって…。病気かなとは思ってたけど。そして昂一とのこと。えええ、これだけ?2009年以降出版されてないけどこれでおしまい?もっと音道の奮闘ぶりが見たい。
2021/05/16
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