いっちみち乃南アサ短編傑作選 (新潮文庫)
いっちみち乃南アサ短編傑作選 (新潮文庫) / 感想・レビュー
いつでも母さん
乃南さん、流石ですね。巧い!タイトル作を含む短編8話。切ない家族の話に不穏な感情。危なく誤った愛という名の恐怖。滑稽ですらある家族…短編なれどどれも堪能させてもらった。
2021/04/10
machi☺︎︎゛
久しぶりに乃南アサさん。あれ?こんな感じだったっけとはじめの話で思ったらその後の7編はやっぱり乃南アサさんだった。1個目のいっちみちはコロナの話も出てきてほっこりするものだった。他の話はサイコパスを冷静に書きました。みたいで怖かった。家族愛を書いているのに温かみを感じず怖さが際立つ短編集だった。
2021/04/26
ゆみねこ
表題作はコロナ禍を、他の短編はちょっとホラーめいたもの。「青い手」が一番印象に残り、「団欒」の家族はちょっと笑えた。手練れの作家さんなので何度も読み返して楽しみたい。
2021/03/20
タイ子
過去の短編集からの傑作が8作。どれも隠れていた人間の裏の顔がひょんなことから出てくる時、取り繕う者、開き直る者、それぞれの顔が面白い。思わずニヤリとしてしまうのは常識と非常識の一線を超えたところに滑稽さが見えるからかな。「団欒」の家族なんて端から見たらバカな家族にしか見えないけど、本人たちは至って真面目。笑うしかないオチ。公衆電話で連絡を取り合う時代、アベックと呼ばれた時代、懐かしい時代の話からコロナ禍の現代までイヤミスたっぷりに楽しめた作品集。
2021/03/20
Ikutan
表題作はコロナを絡めた単行本未収録の新作。16歳の時に訳あって家族と夜逃げしてきた主人公がコロナ蔓延の前にと、松山からかつて暮らした大分臼杵を訪れる。30年間の彼女の辛い日々を振り返りながらも、光のあるラストに読後感良好。ところが、続く『ルール』からラストの『団欒』まではゾワゾワした読後感のオンパレード。1998年~2005年の作品なので、所々に時代を感じましたが、『家族』の物語を通して浮き彫りになる人間の怖さは変わらないのかもね。何れも嫌な展開を残したラストに冷や汗タラリ。でこういう作品も好みなのよね。
2021/05/12
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