文七殺し (新潮文庫 や 40-2)
文七殺し (新潮文庫 や 40-2) / 感想・レビュー
おか
「応為坦坦録」の作者。「文七殺し」「だいひつ屋」「化け物退治」の三篇 全て救いのない、人間の闇をえぐるような物で余り好きにはなれなかった。「応為坦坦録」のあの落語のような語り口はどこにも感じられない
2023/07/16
メタボン
☆☆☆☆ 落語のような語りで江戸時代ものを書くと、山本昌代は本当に上手いなと唸ってしまう。そんな江戸もの3篇を収録。どれも個性的で面白いが、惚れた男が苦悶の表情を浮かべて死ぬ姿が美しいと妄想を抱き、それを実行してしまう「文七殺し」と、二目と見られぬ醜い顔をした呉服屋の娘に奉公人たちが通い詰める「化け物退治」が、凄まじい。だいひつ屋は、他人が描いた美人画の女に惚れて、それを描き写すしかしない浮世絵画家の話。
2022/11/07
harukawani
傑作『応為坦坦録』を読んで以来の山本昌代作品。江戸を舞台にした短編3つ。解説の橋本治は「化け物退治」を一番と評す。確かにこれはとんでもない。飄々としてユーモラスな語りで描かれるのは陰惨な人間の闇。取り返しのつかないことを行いながら、その成り行きから抜け出そうとしない、できない人間の弱さ。良質なホラーとしても読める。だが、個人的には表題作が一番好き。許婚の文七に惚れに惚れてるお才の心情を細やかに描写しながら、その静かな異常さがじわじわと見えてくる。その恋情は、いかに”殺し”に繋がるのか…。名編だと思う。
2018/05/06
はっしー
「化物~」が一番
2021/02/25
藍兒堂
★★★★
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