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水無月の墓 (新潮文庫)

水無月の墓 (新潮文庫)

水無月の墓 (新潮文庫)

作家
小池真理子
出版社
新潮社
発売日
1999-01-28
ISBN
9784101440132
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水無月の墓 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

表題作を含め8つの短篇を収録。小池真理子さんといえば、恋愛小説という先入観があった。それも、幾分か官能的な、しかも真摯な恋でありながら、どこかにアンニュイな気配を漂わせた大人の恋の物語といったような。ところが、この短篇集は大きく趣きを異にする。おそらく、ホラーという言葉はあたらない。その手法からすれば、もっとしっとりとした伝統的な和風の幻想小説である。いずれの物語も、冥界と通底する。そして、その境界もまたあるかなきかの風情を残す。仄かに灯った物語の火は、燃え上がることなく、幽かに消えてゆくのである。

2017/09/04

mocha

【日本の夏は、やっぱり怪談2022】小池真理子さんの怪談は、懐かしく物悲しく美しい。霊の立場で書かれたものを読むと、死後ってこんな感じかな、と思ったり。祟ってやる!呪ってやる!じゃないところにリアリティを感じる。リアルな霊を知ってるわけじゃないけど。異界はすぐ隣にあると思わせてくれる8篇。

2022/07/05

アッシュ姉

安定と信頼の小池さんの幻想怪奇小説。読友さんも好みの内容とあらば、面白さ保証付き。この世に想いを残した死者たちがもたらす哀しみ喜びそして恐怖。短いなかに濃密な物語がとじ込められた上質な短編集。絶品揃いで愉しめた。小池さんの小説を読むたびに羨望の溜息が出てしまう。美しい文章で素晴らしい作品を次々生み出す、才能と美貌の持ち主。ああ、小池真理子になりたい。

2017/11/09

miyumiyu

久しぶりの読書で夏といえば、自然に手に取った小池真理子さん。端正な文章で静かに背筋が冷たくなる短編集。大切な人に会いたい一心がこの世とあの世を繋ぐのか…。「夜顔」の救いのなさ、「深雪」と「水無月の墓」のゾワっと感が好み。どれも孤独で切なくて冷んやり怖い。暑くて眠れぬ夜にピッタリの1冊。

2019/08/04

キンモクセイ

幻想的でどこか不思議な夢の中にいるみたいな異世界。〝ぼんやり〟離婚して柿生に引越し静かに過ごしていた。友人の康代が娘のこずえちゃんと一緒に遊びに来た。今となっては何もかも遅いけど、もっと気にかけて相談にのっていればよかった。〝神かくし〟神社で伸子ちゃんと鬼ごっこをした。絶対に壁から手を離さないでと約束したのに。枯葉を踏む音がするのに何処にもいない。怖くなって一目散に帰ってきた。伸子ちゃんは?何処?〝夜顔〟その家族はとても幸せそうに見えた。夜顔が咲いたらテラスで見ようと約束したのに。確かに彼らはいたはずだ。

2021/04/29

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