female(フィーメイル) (新潮文庫)
female(フィーメイル) (新潮文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
5人の女性作家による、それぞれ女性を主人公にした物語。いずれもエンターテインメント小説だが小池真理子「玉虫」が篇中では最も小説としての純度は高い。唯川恵「夜の舌先」は、ちょっと哀しい官能小説。室井佑月「太陽の見える場所まで」は、いわばユーモア小説。姫野カオルコ「桃」は、独特の一種誌的な文体で異彩を放つが、後半で失速気味。乃南アサ「僕が受験に成功したわけ」は、中学生の男の子の脚フェティシズム小説だが、私から見れば設定に無理があるように思える。こうした様々なタイプの小説が並ぶのは、まさにアンソロジーの楽しみ。
2019/01/15
いつでも母さん
femaleとは女性・雌の意味。womanとの違いは分からないが、このアンソロジーには『female』がしっくりくる。5名の女性作家の性ーエロスを堪能した。好みは乃南さんだったが、思いのほか姫野さんが好い。この感じをなんと説明しようか。いや、説明など不要だ。ただ感じるだけでいいんだ。
2018/05/13
りゅう☆
男に可愛がってほしいと思うだけの女とじじいの関係を描いた『玉虫(小池真理子)』、切ない結末へと辿る夢の中だけ気になる男性と交わる『夜の舌先(唯川恵)』、タクシードライバーと強盗と水商売風の女が同じ悩みを共有する『太陽のみえる場所まで(室井佑月)』、こわいしくみを知らないふりしたあの頃の甘く切ない恋『桃(姫野カオルコ)』、彼女の母親の脚にドキドキした『僕が受験に成功したわけ(乃南アサ)』。女性のエロスや官能がドロドロしてるかなと思ったけど、掻い摘んだ感じで思ったより浅い印象。姫野さん、乃南さんがお気に入り。
2015/12/23
いたろう
女性作家5人による、女性の性、エロスをテーマにした5編のオムニバス。現在31歳の女性が昔を回想する姫野カオルコ「桃」を除いて、他は艶めかしいアラフォー女性の話。そして、このオムニバスは、そのまま5編の短編映画として、5人の個性派の監督によって、オムニバス映画化されていたよう。小池真理子→塚本晋也監督✕石田えり、唯川恵→松尾スズキ監督✕高岡早紀、室井佑月→廣木隆一監督✕大塚ちひろ、姫野カオルコ→篠原哲雄監督✕長谷川京子、乃南アサ→西川美和監督✕大塚寧々。この監督でこの女優。これは是非、映画も観てみなければ。
2018/03/25
チアモン
女性作家5名が、エロスを盛り込んだ物語の短編集。小池真理子氏の「玉虫」が一番好み?だったかな。女性が描いているからか、エロスなのに少し爽やか感もあり、女性特有の毒っぽいところもあり、ページが少ないせいかあっという間に読み終えた。
2019/12/13
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