イノセント (新潮文庫 こ 25-10)
イノセント (新潮文庫 こ 25-10) / 感想・レビュー
けぴ
渚と玲奈。血縁は無いいとこの二人の淫靡なストーリーが淡々と進行する。美しいモノクロ写真が雰囲気を盛り上げる。ラストの一文が光る。「わたしは換気扇の中におとなしく吸い込まれていく煙のように、無抵抗のまま元の生活に舞い戻った。」(P137) 小池真理子さんならではの作品。
2022/04/10
ぐうぐう
イノセント。それは純真であるがゆえに罪深くもある。理性はイノセントを避ける。それが危うく、罪深いことを知っているから。けれど、純真だと思えるほどの強い愛は、だからこそ抑えようのない欲情は、軽々と理性を超え、イノセントに身を委ねさせる。官能が、さらに二人を世俗から遠ざけ、もはや戻れなくなる。しかし、二人は知っているのだ。無垢の世界が長くはないことを。いつか必ず終わりが来ることを。その時、罪を犯した二人には罰が降ることも。知っているから、二人は溺れるのだ。この刹那に。イノセントに。(つづく)
2021/09/14
シュラフ
秀作なのか、駄作なのか・・・。好きか、嫌いか・・・。ストーリー展開があまりに意味不明でなんとも判断をつけがたい。まぁ、小池真理子らしいといえば小池真理子らしい作品である。小池真理子は雰囲気で読ませる作家なのかもしれない。ハナブサリョウの写真とはうまくマッチはしている。ストーリー展開の現実感のなさが、西洋的庭園と西洋彫像という写真とこれ以上なくかみ合っているのがよい。「無垢なまなざしで世界を見つめるという豊饒の時間・・・」。こんな永遠の愛を一瞬でも味わうということは至福の時というべきなのだろうか。
2015/09/18
yoko**
写真の存在が物語をさらに官能的で美しいものへと昇華させ、男女の思いに正当性をもたせる。
2008/01/11
おおた
描写が瑞々しくてよかった。文章も写真も読むごとに違う心情を見せてくれるようで何度も読み返したいと思う
2020/06/05
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